『タクシードライバー』『ディパーテッド』のアカデミー賞監督マーティン・スコセッシが、戦後日本文学の最高峰とも称される遠藤周作の『沈黙』(新潮文庫)を映画化。10月19日(水)、映画『沈黙-サイレンス-』の来日記者会見がTOHOシネマズ六本木ヒルズにて開催され、スコセッシ監督、物語の重要な鍵を握るキチジロー役を演じた窪塚洋介、通辞役の浅野忠信が登壇した。
17世紀江戸初期、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるべく、日本にたどり着いた宣教師の目を通して映る世界を描いた本作。スコセッシ監督が原作と出会った1988年に映画化を希望し、28年かけてようやく完成した待望のプロジェクトだ。
日本美術協会主催の高松宮殿下記念世界文化賞を受賞し、授賞式への出席のため来日していたスコセッシ監督は、本作を通じて、「文化の違い、文化の衝突」を描きたかったと説明。「日本の文化には、14歳の時に溝口健二監督の『雨月物語』を観て初めて触れました。元々私はカトリックということもあり、遠藤周作の作品に興味を持ちました。長い間構想してきたので、この作品を映画化できて、とても嬉しい。この映画については語っても語りつくせません」と、日本の文化との関係を明かした。
日本人俳優のキャスティングについては、「キチジロー役は新鮮な解釈を与えたいと思ったところに、キャスティング・ディレクターから窪塚さんのビデオを渡されました。窪塚さんは力強く演じているだけではなく、心から正直に演じていて、役を心底理解していると感じました。」とコメント。「浅野さんもキチジロー役のオーディションを受けたが、彼の過去作品を観て、通辞役が良いのではないかと思い、お願いをしたらパーフェクトでした」と説明した。
スコセッシ監督の印象について問われた窪塚は、「初日に監督がきれいなスーツを着ていて、汚い酒場で撮影だったんですけど、演出を伝える時に床に手をついて再現していて“スーツが汚れる!”と思いました(笑)」「それくらい熱い思いがあって、作品に向き合っているのだと思いました」とコメント。浅野は、「最初はすごく緊張しましたが、日を重ねる度に楽しかったです。役者として監督がとても期待してくれているのが分かりました」と語った。
その他のキャストには、アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライヴァー、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシなど。『沈黙-サイレンス-』は2017年1月21日(土)に全国ロードショー。
映画『沈黙-サイレンス-』公式サイト:
http://chinmoku.jp/