ハリウッドでは多様性についての議論が紛糾しているにもかかわらず、メジャー・スタジオが製作する映画は、未だに白人男性によって支配されているようだ。
南カリフォルニア大学のアネンバーグ・スクール・フォー・コミュニケーション&ジャーナリズムの辛辣なレポートによれば、マイノリティ、女性、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、そしてトランスジェンダーの登場人物は、未だに例外とされたままであり、彼らの映画における役は、人口の基準と比較すると不十分なものである。ハリウッドを「不平等の震源地」と称する本レポートの執筆者らは、昨年に最も利益を生んだ映画100本の中で、台詞があるか、あるいは役名のある4370人のキャラクターのうち、人口の半数を占めるはずの女性が、わずか31.4%しかいないことを発見した。
レポートによれば、これらの映画のうち49本は、アジア人、あるいはアジア系アメリカ人の台詞がある登場人物を欠いており、17本には黒人やアフリカ系アメリカ人が出演しておらず、45本には障害を抱えているキャラクターが登場せず、82本はレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーのキャラクターを欠いていた。
この調査は、ダイバーシティをいかにうまく推進させていくかという議論に映画産業が飲み込まれてきたのと時を同じくして登場した。昨年のアカデミー賞では、演技部門のノミネート者に2年連続で黒人が1人もいなかったことが指摘された。それは、ソーシャル・メディアで#OscarsSoWhiteというハッシュタグを中心に提起され、反対運動に火をつけていた。それと同時に、パトリシア・アークエットやジェニファー・ローレンスなどの女優が、女優と男優の賃金格差について発言して注目を集めた。
レポートを執筆した1人であるステイシー・L・スミス博士は、「変化を求める声が、数や大きさで高まってきた一方で、それが実際に我々が鑑賞する作品を変えたり、そのために人が採用されたという証拠はわずかです。我々のレポートは、問題がいたる所に蔓延し、システマチックなものであることを物語っています」とコメントしている。
わずかな改善は見られた。女優が主演か助演を務める作品の数は、対前年比で11%上昇している。しかし、それらの映画の主人公は、だれもLGBTコミュニティのメンバーではなく、女性キャラクターは男性キャラクターよりも性的に強調される傾向がある。事実として、女優は男優よりも、性的に挑発的な服装をしたり、裸になることが多く、調査対象となった映画の30.2%では、程度の差はあるが女性が服を脱いでおり、逆に、男性が同じような格好になった映画は7.7%に過ぎなかった。
調査担当者たちは2007年までさかのぼり、800本の映画を調べて数字を算出した。映画における多様性の欠如は、カメラの後ろ側にも表れている。これらの映画を作った監督のうち、女性は4.1%に過ぎず、有色人種の女性となると、事実上4人しかない。黒人は全体の6%以下、アジア人は3%以下だ。
状況は改善されていない。昨年、最も稼いだ映画監督の81%が男性、19%が女性だった。
共同執筆者の1人であるキャサリン・パイパー博士は、「変化を求めて声や要求を上げることも重要ですが、リサーチに基づく現実的で戦略的な解決策もまた大切です」と語る。
「行動によって作られた勢いは、変化を生む現実的な戦術と組み合わされる必要があるのです」(パイパー博士)。
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