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『攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone』黄瀬総監督×冲方丁インタビュー「不完全な草薙素子を描きたかった」

2014/09/05 10:00 投稿

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何度もアニメ化され、カルト的人気を誇る士郎正宗の名作SFコミックを原作に、主人公・草薙素子が殻機動隊を設立するまでの過程を描いた「攻殻機動隊ARISE」。最終話となる『攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone』がいよいよ9月6日より上映となります。

物語の行方はもちろん、「ブリキの少女」エマ(茅野愛衣)と「カカシの男」ブリンダジュニア(小野賢章)という2つの新キャラクター、テーマ曲を担当する高橋幸宏&METAFIVE(小山田圭吾×砂原良徳×TOWA TEI#×ゴンドウトモヒコ×LEO今井)も話題に。

今回は、『攻殻機動隊ARISE』総監督の黄瀬和哉さんと、シリーズ構成・脚本を務める冲方丁さんにインタビュー。ついに完結する『攻殻機動隊ARISE』について色々とお話を伺ってきました。

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――『攻殻機動隊ARISE』いよいよ完結ですね。ファンの方も9月6日が待ち遠しくてソワソワしていると思います。

黄瀬:今どっと疲れが出ている所です(笑)。監督だけやっていたらここまで疲れないとは思うのですが、border:3では監督に加えて絵コンテも担当したので。

冲方:総監督やって監督やって絵コンテまでやるって、まず無いですよね(笑)。

黄瀬:現場出身なので最後まであきらめられないんですよね。『攻殻機動隊ARISE』の総監督に決まった時は監督や演出の経験がほとんど無かったので「この会社(Production I.G)大丈夫か!?」って思いましたけどね。

――結構無茶ぶりだった……?

黄瀬:「今から言う仕事を断らなければ、詳細を教える」と言われて。総作監(総合作画監督)じゃなくて、総監督? って驚きました。

冲方:I.Gさんって断れないシチュエーション作るの上手ですよね(笑)。僕は『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が公開されたのが高校生の時だったので、ずっと教科書的な作品で。今回自分が脚本に携わる事で恩返しが出来るなという気持ちがありました。だからこそ最初は気負ってしまって、ガチガチだったのですが、黄瀬さんのフワっとした雰囲気にだいぶ救われました。

――脚本で苦労した部分はどんな所ですか?

冲方:攻殻機動隊って情報量が多いですよね。刑事ドラマ要素、電脳戦、政治劇……。現在って、IT技術が発達している分、SF感、サイバー感が出しづらいんですよね。でも僕はストーリーを書き上げたらそこで手が離れるので、後は完成を待つだけという感じで。他のアニメだったら、例えばアニメで表現しきれなかった描写を「ここ頑張ったんですけど無理でした」とストーリーの書き直しをお願いされる事がありますが、黄瀬さんとI.Gは全部やっちゃうんですよね。「出来ませんでした」って事が無い。

――このシリーズでは、今まで完璧なキャラクターであった草薙素子の人間らしい部分を観る事が出来て、個人的にとても楽しめました。

黄瀬:それが『ARISE』の一つのテーマでしたね。完全で無い素子を描こうという。素子の成長物語というか、失敗も散々していく中で、仲間を見つけて一人前になっていく。不完全な部分が無いと仲間って集まらないと思うんですよね。完璧な人をフォローしようとは思わないから。素子が可愛く見えるといいなと思いながら作っていました。

――素子って日本のアニメ史上に於いて、最も愛されていると言っても過言ではないキャラクターですよね。その素子の過去を描くという部分でプレッシャーは感じませんでしたか?

黄瀬:あんまり気にしてないですね。ネットでちょこちょこ悪口言ってるくらいだったら、直接言いにくれば良いのにな〜って思ってます。そしたら「お前の素子描いてみろ」って言って、色々語れるのに。

冲方:キャラクターを神格化する事でファンの心をつかむという手法もあると思うのですが、感情移入出来るキャラクターで無いとファンは一定数から増えないですよね。「触れがたいものがそこにある」とファンが思っていると、周りからすると「触れがたい集団がそこにいる」という事になってしまう。そうするといずれ作品が死んでしまう可能性があるので、初見の人にも分かりやすい要素が無いといけない。かといって分かりやすすぎるとつまらない、その塩梅が大切ですよね。

――以前のシリーズを観た事の無い若い世代にとって『攻殻機動隊』って少しハードルが高い作品だと思っていて。『ARISE』は入りやすいストーリーで、これを観てから過去のシリーズを追うのも楽しめそうですね。

黄瀬:そうですね。「今まで攻殻を観た事無い人に観てもらう」という想いはあります。リアルタイム世代がいま30代後半から40代で、アニメ大好きな子は10代でも20代でも観ているかもしれないけど、多くは無いだろうと。『攻殻機動隊』が長年愛されている理由の一つは、素子というキャラクターを発明した事だと思うのですが、『ARISE』では若い世代がより共感しやすい素子を描いているので、ぜひ敬遠せず観ていただきたいですね。

――どうもありがとうございました!

『攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone』
http://www.kokaku-a.jp/

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

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