『アベンジャーズ』のマーベル・スタジオから、待望の最新作映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が9月13日(土)より公開となります。史上最も運が悪い宇宙のトレジャー・ハンター、ピーター・クイルが共にするのは、見た目は可愛らしいけど性格は凶暴なアライグマをはじめとする犯罪者だらけの訳アリ集団。無限の力を持つパワーストーン“オーブ”をめぐって銀河滅亡を阻止する戦いに挑むクション・アドベンチャー超大作です。
主人公・ピーターの日本語吹替を担当するのは声優の山寺宏一さん。『カウボーイビバップ』(スパイク役)や『新世紀エヴァンゲリオン』(加持役)など人気アニメに数多く出演する一方、映画の吹替もウィル・スミスやジム・キャリーなど人気俳優から、ディズニー作品では『アラジン』のジーニー、『シュガーラッシュ』のラルフなど様々なキャラクターを演じています。
そんな声優界のヒーロー山寺さんも、マーベル作品の主人公を演じるのは意外にも今回が初めて! 「日本中がブームになると思う」「とにかく音楽が気に入った」と本作を絶賛する山寺さんに色々とお話を伺ってきました。
――まず本作の日本語吹替えに起用された感想、映画を観ての印象を教えていただけますか?
山寺:よくぞこの作品に声をかけてくれたって感謝しました。面白すぎて、ヤバいと。最初は「マーベルのSF大作」という事だけ知っていて、事前に知識は入れずに観たんですね。そうしたら、映画冒頭でいきなり10ccの「愛ゆえに(アイム・ノット・イン・ラブ)」という曲が流れて、僕その曲がものすごく好きなんです。「あれ、SFなのになんで70年代の曲?」と思ったんだけど、だんだん世界が広がっていって「こういう使われ方するのか!」って夢中になっちゃって。面白くてリハーサルそっちのけで楽しんでしまいましたね。
――もうかなりお気に入りという感じですね。私も終始大興奮で、もっともっと何度でも観たい大好きな映画です。
山寺:それと同時に、このチームを率いるリーダーのピーターを演じるというプレッシャーはありました。ピーターも個性的なんだけど、他のキャラクターが濃すぎて一番まともに見えるというかね。
――ピーターを演じるにあたって意識した事はどんな部分ですか?
山寺:お調子者でプレイボーイで、ヒーローらしいヒーローでは無いですよね。格好良いんだけど、三枚目な部分があるからそんな所を演じられたらなと思って声をあてていたら、意識しすぎてディレクターに「面白くしようとしてるでしょ」って注意されました(笑)。ピーターはこのチームの中でツッコミ役が多いので、頑張りすぎちゃったんですね。でも、やりすぎないでねと言われたので力を抜いて、自然体に。抑えめにやりました。
――確かに、ピーターはリーダーでありまとめ役。ロケットやグルートとの会話のやりとりが笑えますよね。
山寺:SF作品ではあるんだけど、人間関係が面白いですよね。トレジャー・ハンターや、復讐に生きる男など、最初は自分の利益しか考えてない連中なんだけど、最後には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のタイトルどおり、銀河を守るヒーローに変わっていくという。その展開に鳥肌がたちましたね。
――仲間が次々加わっていく所が、“宇宙版ONE PIECE”の様だという意見もある様で。
山寺:ピーターはルフィほどは最初からカリスマ性は無いんだけどね(笑)。でも『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』も続編が決定していて、今後仲間が増えるかもしれないし、新たな敵がどんどん出てくるだろうという展開は『ONE PIECE』の様な広がりを期待しちゃいますよね。
――本作はマーベル最新作ですが、これまでのマーベル作品と違い、コメディ要素が強い所が印象的ですよね。
山寺:『アイアンマン』にもちょっとクスっと笑えるコメディ要素があるけど、この『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は全編に渡って笑える部分が多くて、とにかく明るいんですよね。とっても楽しい気持ちになる。ハラハラするけれど笑えて、感動できて、これぞエンタテインメント。ここまで老若男女誰でも楽しめる映画って久しぶりじゃないかな。小学生の子供にロケットやグルートのモノマネしてもらいたいですね。
――「とにかく明るい」その通りですね!
山寺:SFってこれまでも『スター・ウォーズ』や『スター・トレック』など素晴らしい作品がたくさんありましたが、こんなに明るく無いですからね。僕は『バック・トゥー・ザ・フューチャー』が大好きなんだけど、ジャンルと物語は違っても、観た後の爽快感は似ていました。映画館で声出して皆で「イエーイ!」って騒ぎたくなる様な映画だと思います。
――これまで様々なキャラクターを演じられてきた山寺さんにお聞きしたいのですが、アニメのキャラクターと映画の吹替えをする時の違いってどの様な事がありますか?
山寺:あまり意識はしていないのですが、映画の吹替えの場合は、オリジナルの音を大事にします。その人が日本語をしゃべれたらこんな感じかなと思いながら声をあてています。作業として一番の大きな違いは、アフレコの時にヘッドホンをつけているかつけていないか、かな。映画の吹替えの場合はヘッドホンでオリジナルの声を聞きながら演じますが、あまりその声を聞きすぎても自分の演技がよく分からなくなるし、聞かないと自分の勝手な演技をしちゃうし、そのバランスが大切ですね。俳優さんが体を張って力一杯の演技をしている中、僕はスタジオの中で画面を見ながら演じるから、実際にアクションをしていないのに、アクションシーンの声を出すのって難しいんですよね。
――あくまでもバランスが大切、と。体調管理や、喉の為に気をつけている事はありますか?
山寺:やっぱり健康じゃないとね。声だけで姿が出ない職業とはいえ、体調が悪いと演技に出てしまうと思うんです。かといって、特別な事をしているワケではなく、普通に皆さんが風邪ひかない為にやっている事をしているだけですけどね。ちゃんとご飯を食べて、ちゃんと寝る、って事だけかな。よく「2日寝てません」「今日何も食べてないんです」とアピールしてくる人いるけど、僕はそれは絶対に嫌(笑)。そうした基本的な事をしているだけで、特別なトレーニングとか体を鍛えるって事はしていません。
――体を鍛えると言えば、劇中でピーターが一瞬服を脱いだ時に、かなり鍛えられた肉体である事に驚きました。
山寺:そうそう! 普通に見えて脱いだらすごくて驚きました。さすが、オーディションの熾烈な戦いを勝ち抜いてきただけありますね。これからも出演作品が目白押しみたいですけど、ピーター役がハマりすぎていて、そのイメージを払拭するのが大変なんじゃないかな? と思うほどピッタリでしたね。だから、本当にこのピーター役を演じられて嬉しい!
――他の声優さんに決まっていたら悔しかったという気持ちも?
山寺:もし違う方が決まっていたら悔しくて悔しくて、映画をお客さんとして観た時に面白くても、絶対面白いって言わない(笑)。10ccの「愛ゆえに(アイム・ノット・イン・ラブ)」が聞こえた瞬間「これ、俺がやる!」って思ったほど。この曲って、宇宙空間を思わせるハーモニーが魅力的な曲で、これを宇宙冒険物に使うというこのセンス! 後、これから戦いにいくぞという時に流れるザ・ランナウェイズ「チェリー・ボム」も格好良いんだよね。だから、タランティーノはやられた! って思ってるんじゃないかな? タランティーノ作品のサントラって毎回魅力的で僕も大好きなんだけど、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』も名盤サントラの1枚になること間違い無しだと思いますね。
――私も今からサントラの発売、映画の公開が待ち遠しいです。今日はどうもありがとうございました!
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』公式サイト
marvel-japan.jp/GOG/
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