『ホーリー・マウンテン』『サンタ・サングレ/聖なる血』などカルト的な人気を誇る、チリ出身の映画監督アレハンドロ・ホドロフスキー。漫画家・大友克洋氏と交流があると言われており、三池崇史監督の映画にコメントを寄せるなど、日本に対し造詣が深いと言われています。
そんなホドロフスキー監督が26日(土)、東京・世田谷区の龍雲寺にてファン100人と「坐禅&説法」イベントを開催。「金と欲望」というテーマのこの日の説法の最初に、ホドロフスキー監督はメキシコで師事した日本人の禅僧・高田慧穣から「小鳥の自然な鳴き声こそが説法だ」と教えを受けたエピソードを披露しました。坐禅って何? 説法の定義って? そんな、禅について全くの無知である筆者もこのイベントに参加。非常に有意義な、特別な時間を味わせていただきました。監督の作品紹介と共にレポートします。
●坐禅とは何かを得るのでは無く、捨てるもの
今回の説法のテーマは「金と欲望」。「今日の世界で神とはお金です。しかし今持っていないものを欲しがる期待、持っているものを失いたくないという恐怖を持たないために、お金は必要な分を稼ぐだけで十分なのです」とホドロフスキー監督。
「ひとつの名前や年齢や国籍、古くて間違った偏見に閉じ込めてしまうことは、自分たちの住む地球を破壊します」と話し、最後に「慧可は達磨大師に弟子入りのために自らの腕を落とし悟りを開きました。私も常に両腕両足を落としたらどうなるか考え続けています。きっと私は、笑ったまま頭を落とすでしょう。私にとって禅とはそういうものです」と分かちあうことの大切さを語り、説法を締めくくりました。
その後、龍雲寺の僧侶による解説を受け監督、そしてファン100人が15分間の坐禅を。姿勢を正し、目と閉じると余計な事を考えてしまうという事から、目を開けたまま1.5m先を見つめて、15分間じっと頭の中を空にします。4月の晴天の中、しんと静まり返った空間は現代に生きる私たちにとってとても貴重なもの。15分間はあっという間で、監督の説法を噛みしめる時間となりました。
また、この日参加したホドロフスキー監督の20年来の大ファンという男性は、「中高生の時に監督の作品を観て衝撃を受け、それから20年経って監督と一緒の時間を過ごす日が来るとは夢にも思わなかった。生ホドロフスキーは本当に格好良くて説法にもしびれました。映画が楽しみで仕方ありません!」と感激のコメント。
●ドキュメンタリー&23年ぶりの新作が公開!
「失敗してもかまわない、それも一つの選択なのだ」これは、世界を変えた未完の大作をめぐる、あなたに勇気を与える映画。
メビウス、ギーガー、ダン・オバノン、サルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、ピンク・フロイドら、驚異的な豪華メンバーを配するも、撮影を前にして頓挫した幻のSF大作『DUNE』。その製作過程を、ホドロフスキー、プロデューサーのミシェル・セドゥー、ギーガー、ニコラス・ウィンディング・レフン監督らのインタビューと、膨大なデザイン画や絵コンテなどの資料で綴る、映画史上最も有名な“実現しなかった映画”ホドロフスキー版『DUNE』についての、驚愕、爆笑、感涙のドキュメンタリー。
『ホドロフスキーのDUNE』
監督:フランク・パヴィッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セドゥー、H.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン
2014年6月14日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開
(c) 2013 CITY FILM LLC, ALL RIGHTS RESERVED
世界を熱狂させた巨匠、アレハンドロ・ホドロフスキー85歳。23年ぶりに作り上げた、残酷で美しい人間賛歌。
1990年の『The RainbowThief』(日本未公開)以来23年ぶりとなる新作は、生まれ故郷チリの田舎町で撮影された自伝的作品。権威的な父親との軋轢と和解、ホドロフスキーを自身の父親の生まれ変わりだと信じる、元オペラ歌手の母親との関係、そしてホドロフスキー少年が見た“世界”とは…映画の中で家族を再生させ、自身の少年時代と家族への思いを、現実と空想を瑞々しく交差させファンタスティックに描く。
『リアリティのダンス』
監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
プロデューサー:ミシェル・セドゥー
出演:ブロンティス・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、クリストバル・ホドロフスキー、アダン・ホドロフスキー
音楽:アダン・ホドロフスキー
2014年7月12日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷アップリンクほか、全国順次公開
(c) “LE SOLEIL FILMS” CHILE・“CAMERA ONE” FRANCE 2013
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