これから冬に向けて気になるインフルエンザ予防。日本で流行する前に情報が行き渡り、ウイルスに対抗するワクチンが普及するようになった現在でも、感染して肺炎や脳症などの重篤な症状になったり、場合によっては死に至ることもある怖い病気であることには変わりありません。
そんなインフルエンザの予防に、今までも効果的とされてきた市販のヨーグルトにも含まれる「1073R-1乳酸菌(以後R-1乳酸菌)」に、今回ワクチンの効果を高めるという新しい研究結果が発表になり、2013年10月30日にはメディア向けのセミナーが開催されました。
●「感染者が重症かどうかを呼吸法で見分けることができる」
セミナーでは、まず新潟青陵大学看護福祉心理学部長・同看護学科の鈴木宏教授が「魔物、インフルエンザから身を守る」と題して、ウイルスの概要から対処法、さらには感染を広めないための処方せんについて講演。
A型・B型・C型といった種類や、トリ・豚などの感染経路などによって適切な対応が変わるインフルエンザ予防。鈴木教授によると、「東南アジアや南半球での発生状況を見るのが予測では重要」と話し「新型インフルエンザ発生阻止の最善の方法は、鳥での流行を早期に阻止することである」としてワクチン接種の重要性を強調します。
また、「インフルエンザ対策の基本は単一でなく総合対策である」と述べて、咳エチケットを守りマスクを着用することや、人と人との間隔を2メートル開けること、外出後のうがいや手洗いといったルールに加えて、バランスの取れた栄養を摂取して休養と睡眠を十分に取るという体調の管理が大切だと説きました。
そのうえで、鈴木教授は「早期発見と早期治療が重要。致死率の低いものは治療、高いものは予防というような分け方があってもいいのではないか」と問題提起。では、どこからが重症なのかどのように判断するのでしょうか?
上気道や肺に感染して増殖した際には、発熱や頭痛など全身に症状が出ますが、ここで注意すべきなのは呼吸。「新型インフルエンザ患者は自覚症状がなくてもサチュレーション(SpO2)が下がっている」といい、呼吸数を数えることで重症かどうか見極めることが可能といいます。
鈴木教授が提唱するのは、医療機関で検査する前に体温に加えて1分間の呼吸数、息苦しさや食欲、けいれん、嘔吐、下痢の有無などのチェックリストをつけること。病院などに行く前に状態を知ることにより、自身の状況を知ることができ、受診する際にも適切な治療を受けることができるといいます。
「手を胸において数えることを推奨している」という鈴木教授によると、呼吸数が1分あたり30回以上の場合は重症と見なせるとのこと。
●インフルエンザ患者チェックリスト○下記の数値を測定してみてください
・今日の体温
・今日の呼吸数
・発熱はいつからですか
・咳はいつからですか
○下記の症状はありますか?
□息苦しいですか
□食欲はありますか
□元気ですか
□意識はありますか
□けいれんはありますか
□嘔吐はありますか
□下痢はありますか
□その他、伝えておくべきことはありますか
「重篤になったケースは、インフルエンザで熱だけをチェックしていたのだと思います。高齢者や新生児は熱が出ない。熱が出るほど元気ならばいいわけです。熱はないけれど元気がないということで、病院に行って肺のレントゲンを撮ると真っ白だったというのでは手遅れになってしまいます」と警鐘を鳴らす鈴木教授。「チェックリストの項目は病院でも同じことを聞かれることなので、前もって把握できると事務手続きが楽になります」とのことなので、万が一インフルエンザに罹患した際に役立ちそうです。
●「R-1乳酸菌がインフルエンザワクチンの効果を高める」
R-1乳酸菌を含むヨーグルトがワクチンの効果を高めるという気になる研究を発表したのは、順天堂大学医学部・免疫学講座の竹田和由准教授。「免疫の目的は病気を防いだり治したりすることではなく、異物や変な自分を排除することが目的で、その結果として病気が治ってしまっている」といい、免疫が正常な状態を間違って攻撃する例として膠原病やリウマチなどを、同じく免疫が無視した方が良い異物を間違って攻撃する例として、アレルギー・花粉症・アトピーを挙げて説明します。
ひと口に免疫といっても、運動や良い生活習慣で上げることができるものと、ワクチンの摂取することで付けることができるものがあるという竹田准教授。前者を「自然免疫」、後者を「獲得免疫」といい、双方が連携プレーで細菌やウイルス、がん細胞に対処して病気を防いだり治したりするとのこと。
また、自然免疫の代表格であるリンパ球の一種のNK細胞について、竹田准教授は「NK活性の低い人は、風邪にかかりやすく治りにくく、感染症での死亡率が高い。疫学的調査で、NK活性が低い人は癌になるリスクが高いことが分かっています」と話します。
その、NK活性を上げるにはどうすればいいのか? 竹田准教授は「食の改善でNK活性を上げるのが最も確実な方法」と強調。ヨーグルトや納豆、椎茸といった細菌が含まれた食べ物や菌体などのプロバイオティクスを摂取することが健康に良い効果をもたらすという報告がWHO(世界保健機関)でも2001年に出されていることを指摘。
実際にネズミを用いた調査で、R-1乳酸菌の産生するEPSを3週間投与すると、脾臓細胞のNK活性の上昇効果が認められ、腸の免疫活性化を介して全身のNK活性も上がるとします。
人間に対しての調査結果として、山形県舟形町と佐賀県有田町で実施された健常高齢者に対する長期摂取試験を紹介。R-1乳酸菌を使用したヨーグルトを毎日摂取した際に、NK活性が低い被験者の場合は正常値以上にまで上昇し、風邪を引くリスクも39%にまで減少させる効果があることが既に確認されているとします。
そして今回、「R-1乳酸菌がインフルエンザワクチンの効果を高める」ことが、新たに発表されました。2012~13年の冬に順天堂大学医学部の男子大学生40名を対象にして実施された調査では、R-1乳酸菌を使用したヨーグルトと、ブラセボ酸性乳飲料を1日1本、インフルエンザワクチンの摂取前3週間と摂取後10週間に飲んだ際に、ワクチン株の抗体について調査。結果、プラセボを摂取した被験者と比べてR-1乳酸菌を使用したヨーグルトを摂取した被験者はA型(H3N2)ワクチン、B型ワクチンを摂取した際に抗体変化率や陽転率が有効な数値まで上がったと認められました。
これにより、竹田准教授は「R-1乳酸菌がインフルエンザワクチンの効果を高めたと考えられる」と結論。
「NK活性は他の乳酸菌でも認められますが、R-1乳酸菌はばらつきなく数値が上がるので優位性がある。一般に誰が飲んでも効果があるのがR-1乳酸菌だと考えています」という竹田准教授によると、摂取して効果が出るまでに1~2週間かかり、2~3週間は持続するとのこと。継続的にR-1乳酸菌使用のヨーグルトを摂取することが、インフルエンザだけでなく風邪の予防にも繋がるとしています。
免疫学の第一人者でもある奥村康・順天堂大学医学部・免疫学講座特任教授も「期待以上のものが出た」という今回の調査。「英語では風邪とインフルエンザは別の言葉なように、まったく違う病気。インフルエンザは神経症状が出て子どもの脳症を引き起こすようなシリアスな病気。ストレスがかかる入学試験や期末試験前にはNK活性が必ず下がる」(奥村特任教授)というように、ワクチンの摂取だけでなく、日頃から健康に留意した食生活をすることが予防につながります。インフルエンザが気になる方は、ワクチン接種のみならず、日頃からR-1乳酸菌が入っている乳製品を採ってみてはいかがでしょうか。
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