29日、トルコ150年来の夢であったボスポラス海峡を結ぶ海底トンネルが完成した。マルマライ計画とも呼ばれる、アジアと欧州両大陸をつなぐ世界初の海底トンネルで、全長13.6km、最深部は地下62mを走る。およそ4000億円の建設費用のうち約4分の1を日本が円借款で拠出し、大成建設が誇る最新のトンネル施工技術で建設されるなど、日本とも関わりの深いプロジェクトだ。新海誠監督が制作した大成建設のアニメCMが話題になったので、ご存知の方も多いだろう。イスタンブールで行われた開通式典でトルコのエルドアン首相は、「マルマライは人と国と大陸を結び付けると同時に、過去と未来を結び付ける」と演説し、日本にも謝意を示した。
さて、式典には日本の安倍首相も招待されて出席していたが、宗教指導者と共にアラーにお祈りを捧げる段で、安倍首相がイスラムの礼拝作法に則り、両手を胸の前でいただくポーズを取った。このことが現地のトルコ人に驚きを与えているようだ。
「アベは敬虔な神道信者じゃないのか?」――比較的イスラム信仰の緩いトルコだが、それでも唯一神アラーを奉じる彼らにとっては他の宗教の神に祈りを捧げるのはタブーであり、驚くべきことらしい。そういえば日本でも、あるキリスト教系の熱心な信者は神社の鳥居をくぐれないという話がある。
安倍首相は日本人的美徳「郷に入っては郷に従え」を実践したまでのことだと思うが、ともあれ、この行動は現地の人々には概ね好感されているようだ。『Facebook』や『Twitter』では「マルマライのために祈ってくれてありがとう」と日本語で感謝を示すトルコ人も多い。「日本人は皆、神道か仏教の敬虔な信者」と認識してくれている彼らに、一般的な日本人のテキトーな宗教認識――イスラムの神も八百万の神のうちの1体にすぎない――を説明するのはやめておいたほうがよさそうだ。
画像:『Twitter』でリツイートを集めている画像
大成建設:ボスポラス海峡トンネル篇 CM(高画質版) (YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=OKoCl-3E0Vw
※この記事はガジェ通ウェブライターの「ろくす」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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