今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
■外交シリーズ 「尖閣は固有の領土」と言えば竹島を失う(中部大学教授 武田邦彦)
2011年6月、日本がまだ3月11日の大地震と12日の原発事故で大揺れに揺れ、民主党政権が右往左往している時に、中国は官民一体となって尖閣諸島の領有権を主張しだしました。
その前触れが2010年9月の漁船事件でしたが、この時、民主党政権が沖縄地方検察庁を使って政治判断をさせたという奇妙なことが起こり、仙谷官房長官のこれも奇天烈な発言が続いたので、中国は斥候が成功した格好になったのです。
でも2011年の事件は当然の成り行きです。1968年の国連アジア・極東経済委員会の調査、尖閣諸島の資源、鄧小平総書記の自制、中国の臥薪嘗胆、日本の環境呆け・・・などの歴史を見れば頷けることです。中国が膨張主義とか尖閣は日本の固有の領土などと言っているのは大人の思考ではありません。
先回の外交シリーズでロシアの膨張主義を整理しましたが、今回は民主党の下手な外交で日本は竹島と北方四島を失う危機にあるという解説をしたいと思います。
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2011年6月。中国が尖閣諸島を取りに来てしばらくして、日本からアメリカに対して「尖閣は日本の固有の領土だから、アメリカは日米安保条約に基づいて尖閣を守れ」と言う要望を出したことがあります。これを聞いて私は驚愕しました。「言ってはいけないこと」が白昼堂々と語られたからです。
1) アメリカ人のもっとも嫌いな言葉は「固有の領土」。
2) アメリカは固有の領土を持たない国。
3) ハワイがアメリカに占領されたのは1898年。
4) 日本が尖閣を領土にしたのは1895年。
5) アメリカが「尖閣は日本の固有の領土」というのを認めたら、アメリカは直ちにハワイをハワイ人に返還する必要がある。
6) アメリカは「実効支配」を根拠にする。
7) 実効支配が定着すると日本は竹島と北方四島を失う。
日本政府はなぜアメリカに助けを求めたのか、「固有の領土」という根拠を使って竹島と四島を失わない論理を国民に説明する必要がある。
国際政治を甘く見て、日本国内の議論を中心にすることは著しく国益に反する事になる。日本の大人が子ども的な行動を取ると、子どもたちが困ることになるだろう。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年04月05日時点のものです。
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