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「障がい」表記について。

2013/02/19 14:03 投稿

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「障がい」表記について。

今回はあべ・やすしさんのブログ『hituziのブログじゃがー』からご寄稿いただきました。

■「障がい」表記について。
去年、たくさんの ひとたちと共同論文を かいた。まだ査読まちなので、論文として掲載されるかどうか きまっていない。なので、共同で原稿を かいたというのが正確。そのとき、障害の表記を「障がい」にしたいという意見が複数でた。それについて反対意見もでた。わたしは、どっちでも いいと おもったし、そのように発言したけれど、「なぜ「障がい」にするのか、納得のいく説明をしてほしい、そうでなければ「障害」で」ということを あとで つけくわえた。

「障がい」にするなら するとして、気になることがある。たとえば、わたしは この数年、「図書館利用に障害のある人々へのサービス」というものを 紹介しつづけている。これは、障害者に対するサービスに限定されるものではない。図書館の利用に なんらかの困難がある場合、それは、図書館側が もうけてしまっている障害であり、それを解消する責任が 図書館には あるという視点に たっている。とても意義ぶかい視点だと おもいます。

この、「図書館利用に障害のある人々へのサービス」を、「図書館利用に障がいのある人々へのサービス」と表記するとすれば、それは まちがっていると おもうのです。

これは、「移動障害」や「情報障害」も おなじです。社会のありかたが、そのような障害を つくっている。社会のありかたを かえることで、移動するさいの障害や 情報を やりとりすることの障害を なくしていかなくてはいけない。この場合の障害は、問題としての障害なわけです。これを「障がい」と表記するのは、文脈を ふまえていないと感じるわけです。

さて。わたしは これまで、視覚障害というのと、移動障害というのとでは、障害の意味が ちがうと おもってきました。みえないことは、客観的な事実であって、社会のありかたに左右される移動障害や情報障害とは ちがうものだと。しかし、みえにくさや きこえにくさについていえば、社会のありかた、その場の状況が おおきく関係していることに気づくようになりました。

きこえにくい ひとが、私語が うるさすぎて、きこえないと いうことが あります。その場の状況や環境のせいで、ききたい発言が きこえない。あるいは、ルーペや拡大読書器について きちんと情報提供されていないために、みえるものが みえないと おもいこまされてしまう。みえないままにされてしまう。そういうことが あります。社会のありかたが視覚や聴覚の障害を 重度化したり、顕在化したりしてしまうということです。工夫すれば、よみやすくなる読字障害の ひとについても、おなじことが いえます。

ものごとは、イチかゼロかではない場合が ほとんどです。ただ、まったく みえない(全盲)、まったく きこえない(全ろう)という場合もあるので、社会のありかたに左右されない視覚障害や聴覚障害も あるわけです。ただし、人間が利用できる感覚は複数あるので、視覚以外、あるいは聴覚以外の感覚を つかって、移動できること、情報の やりとりが できること。それが大事です。つまり、視覚障害に注目するのと視覚障害者に注目するのとでは、みえてくるものが ちがってくるということです。全盲のひとにとって、大事なのは視覚情報以外のものだということですね。きくこと、さわること。聴覚と触覚に敏感だったり鋭利な感覚を もっていることも あるということ。それなのに、音声情報や点字資料が すくなすぎて、情報のアクセスに障害が あるということ。

ろう者も、みること、さわることに重点があり、視覚と触覚に敏感だったり、鋭利な感覚を もっていることも ある。それなのに、手話による情報や文字情報が すくなすぎて、情報のアクセスに障害があるということ。

視覚障害がないとか、聴覚障害がないということは、なにも、五感が すぐれているというわけではないのに、「わたしは健常者だ」と おもっている。点字を 触読できるほどの感覚も なければ、手話の音韻を 視認できるほどの視覚も言語的知識も ないのに、「わたしには障害がない」と おもっている。これはたんに、権力関係を 反映しているだけで、能力の差ということではない。また、「能力の差」というものが たとえ あったとしても、それを 優劣と解釈するのは おかしいという倫理観もないということ。つまり、たいしたことのない人間だということ。

わたしにも障害があると感じ、配慮が平等でないだけなんだと実感するとき、バリアフリーやユニバーサルデザインという理念の必然性が理解できるのでしょう。

わたしたちは、たいしたことのない、よわい存在です。それは肉体だけの はなしではなくて、倫理という面でも よわいのです。だから、社会の ありかたを よりよくしないと いけないのです。個人の良心まかせにしていては いけないのです。

まったく整理できていないのですが、ここまでの議論を まとめてみます。

「障がい」という表記は、障害を 個人的なこととして とらえてしまうという問題が あります。そして、社会が つくりだした障害を 問題視する視点に つながらないという問題が あります。もうひとつは、障害を 特定の ひとたちにだけ みいだしてしまっているという問題が あります。

あたりまえのことを、だらだらと かいてしまったのでしょうか。まちがったことを かいてしまったのでしょうか。わたしは よく わかりません。

執筆: この記事はあべ・やすしさんのブログ『hituziのブログじゃがー』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年02月18日時点のものです。

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