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その昔、ウルトラマンで有名な円谷プロダクションが大人向けに制作した、『怪奇大作戦』という、特撮ドラマがあった。

最近は、NHKでもリメイクされたりするほど、コンセプトがしっかりとした作品で、30年以上たった今観ても、古臭さが感じられない名作ばかりである。

その最終回は、「ゆきおんな」がテーマだった。

クライマックスの特撮シーンの見所は、那須高原の草原の空いっぱいに現れた巨大な雪女が、悪人をこらしめて、自分の娘の危機を救うというエピソードで、ほとんどオールロケのような作品だった。

裏事情によれば、製作予算が底を尽き、致し方なく、那須のホテルとタイアップして、強行軍で撮影したそうで、そのためか、このシリーズのクオリティに比べると、かなり、荒削りな仕上がりなのが残念だった。

さて、「ゆきおんな」である。
この作品のロケ地からも伺えるように、その出没地は雪深い山村というのが常識だろう。

事実、豪雪地帯と言われる、新潟県の小千谷地方や、山形県の上ノ山地方、鳥取県東伯郡などには、「雪女郎」あ「つらら娘」と呼ばれる伝承が残っている。

この『雪女』の伝説を全国的に有名にしたのは、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の『怪談』であろう。

しかし、実はハーンがこの話を聞いたのは、意外にも東京都西多摩郡調布村出身の親子からだといい、物語の舞台となったのは、現在の青梅市中部の多摩川沿いの渡し付近だったという新説が掲げられている。

このことは、ここ数年を掛けた研究でも確認されており、青梅には実際にそうした伝承が残っているらしい。

現代の気象では、青梅が豪雪地帯だったとは俄かに信じ難いが、江戸時代の気象は、飢饉や天候不良が続いたり、浅間山の噴火なども度々起こり、降雪量も現代からは想像も出来ないほど、降っていたという。

たしかに、安藤広重の「東海道五十三次」の浮世絵版画を見ても、現代の感覚では、太平洋側とは思えないほどの降雪が描かれている絵もある。

そういった数々の逸話が残っているという意味では、あながちこの都市伝説が嘘、とは断言できないと思うのだが、いかがであろうか。

ちなみに現在、青梅市の中心部では、昭和レトロをキーワードに、古い映画の看板を掲げたり、駄菓子文化や漫画家の記念館、情感溢れる建築模型の資料館なども立ち並び、古くて新しい観光スポットとして注目されている。

そして、大正末期に建てられた、木造2階建ての家具店を改装した「昭和レトロ商品博物館」の二階には、「雪女の部屋」という資料室も作られているのだ。

意外なところに伝わる、東京の都市伝説を尋ねてみるのも面白いだろう。

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(所在地)「昭和レトロ商品博物館」:東京都青梅市住江町65
(交 通):JR青梅線、立川駅から30分青梅駅下車、徒歩5分

写真:写真AC

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