いよいよ9月17日(土)発売の『週刊少年ジャンプ』(42号)で40年に及ぶ長期連載の幕を閉じる『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。世代を問わず名残を惜しむ声が聞こえてくるが、それはライバル誌の編集者も例外ではない。
「ずっと背中を追っていた」”こち亀”は親父のような存在
K社で少年マンガ雑誌の編集を手がける岩下さん(40代・仮名)も、かつてはライバル誌『少年ジャンプ』の愛読少年だったという。毎週欠かさず、100円玉を2枚握りしめてワクワクしながら『少年ジャンプ』を買いに行っていた岩下さんにとって、“こち亀”は親父のような存在だったと言う。「当時、ジャンプは『ドラゴンボール』をはじめスター作品揃いだったけど、1~2年スパンで変わっていく連載も多かった。好きなマンガが終わって寂しい気持ちになっている時も、”こち亀”だけは変わらずにドンとしていてくれて一家の大黒柱のような存在だった」。少年マンガ雑誌の編集の仕事を始めてからも、いつも”こち亀”のような存在を探していたそうだ。「巨人と言えば長嶋さん、ジャンプと言えば”こち亀”、そんな大黒柱となる作品を探し求めてました。親父の背中を追いかけ続ける息子みたいなものですね 笑」偉大な親父に結局追いつけなかった、と語る岩下さん。最近は店頭で『少年ジャンプ』を買うことがなくなっていたが、「9月17日は昔のように100円玉を握りしめてコンビニに行きますよ!」と少年のような笑顔を見せた。
大人も子供も書店・コンビニへ 600万部の夢をもう一度
岩下さんが”こち亀”最終回掲載号に寄せる思いはもう1つある。かつて653万部の発行部数を記録した『少年ジャンプ』も95年をピークに年々部数を減らし、今では最盛期の1/3程度。業界トップランナーである『少年ジャンプ』の勢いが、他誌の売れ行きとも密接に関わっていると言う。掲載されているマンガの絵やストーリーの質は以前に勝るとも劣らないほど高い、なのに発行部数は伸び悩んでいる。”こち亀”最終回をきっかけに、かつての少年マンガファンにもう一度「お小遣いを握りしめてマンガ雑誌を買いに行くワクワク感」を思い出して欲しい。『少年ジャンプ』42号は、ひょっとすると業界の起爆剤となる「記録的な部数がでるかもしれない」と岩下さんは語る。
両さんのメッセージは少年マンガ界共通の願い
最終回発表後に、”こち亀”ホームページではこんな画像が掲載された。「こういう時だけ「最近読んでないけど好きだった」とか、「もっと続いて欲しかった」とか言いやがって」まさに両さんならではの、率直なメッセージと言えるだろう。そして、これは岩下さんを始めとする少年マンガ界全体の思いなのかもしれない。『少年ジャンプ』を卒業したばかりの若者も、かつて胸をときめかせていた大人たちも、国民的長寿マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のフィナーレに、遠くから思いを馳せるだけでなく、もう一度100円玉を手に両さんの門出を祝いに書店やコンビニに集ってみてはどうだろうか?”こち亀”とはお別れだが、もしかすると新たな作品との出会いもあるかもしれない。
※画像提供:1,2,4 集英社[リンク] 3 まんがseek[リンク]
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(執筆者: 荏谷美幸) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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