7月9日にいよいよ公開となる『死霊館 エンフィールド事件』。“悪魔”の恐ろしさにあまり馴染みのない日本人ですら震え上がった前作『死霊館』は、ホラー作品では『エクソシスト』に次ぐ史上二番目のヒットとなりました。『死霊館』シリーズを監督するのは、2000年代のホラーの鬼才・ジェイムズ・ワン。観客に“自分は今恐ろしいものを見ている”と認識させる、『死霊館』シリーズの説得力はどこからくるのか。ワン監督に話を伺いました。
――観客を脅かすだけにとどまりがちなホラー映画に、説得力を持たせる秘訣はなんでしょうか。
ジェイムズ・ワン監督「やはりキャラクターですね。“この人なら共感できるぞ”という人物を登場させないと始まらない。他の映画を作る上でも意識してることで、僕のいろんなシリーズはキャラクターありきで作ってきました。そして撮影手法やカットにはとてもこだわっています。編集でごまかさずに、心霊現象と同じフレーム内にちゃんと人物を据え置くことです。そうするとこの人は本当に怖い思いをしているんだなと観客は感じ取ることが出来るんです。例えば、動くイスだけを切り抜くのではなく、ひとつのフレームに入れることで心底怖いシーンができあがる。ごまかすみたいなことはしたくないんです。」
——監督として見て、あなたがこの映画で一番恐ろしいと思うシーンは何でしょう?
ワン「一番というのはないですね。僕は、様々なシーンの“瞬間”が好きなんです。たとえば、悪魔に取り憑かれる少女・ジャネットのとあるシーン。自分の部屋へと走ってきた彼女は、椅子を掴み、それをドアのところへ置く。物音が聞こえて、ドアの鍵をかけると、それからベッドにもぐりこむ。その直後、彼女のすぐ横で“バン!”という音が聞こえて起き上がると、ドアのところへ置いたはずの椅子が彼女の横に来ていて、ドアは完全に開いている。僕はその瞬間が大好きです。」
ワン「それはすべて一つのショットで起こることなんです。実際の撮影は2回でした。1回目に撮影したものを確認したら、気に入らなかった。タイミングが合っていないと感じたんです。大事なのは“正しいタイミング”です。それで撮影に戻って、もう一度“正しくやるために”撮影しました。」
——タイミングがとても重要なわけですね?
ワン「そうです、タイミングはとても重要です。僕の最初の頃の映画では、予算と時間がなかったからそれはずっと大変なことでした。ショットが長ければ長いほど、正しいタイミングをカメラにおさめるのにはもっと時間がかかる。何テイクも重ねたりね。いま、僕は自分のキャリアを伸ばしてきたことで映画作りで扱えるお金も増えて、もっと複雑なショットを撮影することが出来るようになりました。でも僕は、そういったことを単なる好みでやっているわけじゃない。実際にストーリーを語るやり方として、そういったことをやりたいんです。僕は、そのショットの中での“何が起きるか?”といった予感が大好きです。映画の中の最終的なタイミングは、まさにそうあるべきものなんです。」
——日本のファンには、この新作のどんなところを楽しんでもらいたいですか?
ワン「僕は映画全体を楽しんでもらいたいですね。この映画にはとても多くのエモーションが詰まっている。怖い部分だけでなく、心温まる部分やハートもある。僕は、日本のファンに、よくあるホラー映画のように感じないこのホラー映画を、是非見てもらいたいですね。」
死霊館 エンフィールド事件
7月9日(土)新宿ピカデリーほか全国公開
<STORY>
ロンドン北部エンフィールド。シングルマザーのペギーと4人の子どもたちは、家の中の奇妙な物音に悩まされていた。やがて椅子やタンスがひとりでに動いて家族を攻撃するようになり、テレビ局が取材に訪れる。すると、11歳になる次女のジャネットが、「私の家から出て行け」と老人としか思えないしゃがれ声で怒り出し、「ビル・ウィルキンス、72歳だ」と名乗る。怪奇現象は予想もつかぬ暴走を続け、エド&ロレインのウォーレン夫妻に助けが求められる。だが、様々な事件を勇敢に解決してきたロレインが、かつてない危険を感じて脅えていた──。
監督:ジェイムズ・ワン 原案:チャド&ケイリー・ヘイズ、ジェイムズ・ワン
脚本:チャド&ケイリー・ヘイズ、ジェイムズ・ワン、デイビッド・レスリー・ジョンソン 撮影:ドン・バージェス 音楽:ジョセフ・ビシャラ
出演:ベラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、フランシス・オコナー、マディソン・ウルフ、フランカ・ポテンテほか
2016/アメリカ//シネスコ/デジタル
原題:The Conjuring 2 配給:ワーナー・ブラザース映画
公式HP:www.shiryoukan-enfield.jp 公式ツイッター:@shiryoukan2 #死霊館エンフィールド事件
配給:ワーナー・ブラザース映画
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