妹さえいればいい。2 (ガガガ文庫)

 待ちに待った平坂読『妹さえいればいい』の第2巻を読みました。

 面白かった!

 ぼくの場合、現在刊行継続中のライトノベルで続きを楽しみにしているのはこれくらいなのですけれど、じっさい待つに値する面白さ。

 第1巻の要素を発展的に継続させているところが素晴らしい。

 ライトノベルの第2巻としてはお手本にしたいような出来といっていいでしょう。

 この巻のあらすじはこんな感じ。

 俺達はアニメの原作を書いてるんじゃない!

 妹バカの小説家・羽島伊月は、人気シリーズ『妹法大戦』最新巻の執筆に苦戦していた。 気分転換のためゲームをしたり混浴の温泉に行ったりお花見をしたり、担当への言い訳メールを考えたりしながら、どうにか原稿を書き進めていく伊月。彼を取り巻く可児那由多やぷりけつ、白川京や義弟の千尋といった個性的な面々も、それぞれ悩みを抱えながら日々を生きている。そんな中、伊月の同期作家で親友・不破春斗の『絶界の聖霊騎士』のテレビアニメがついに放送開始となるのだが――。

 妹と全裸に彩られた日常コメディ、第2弾登場!!

 そういうわけで、この巻のメインイベントは不破くんの作品のアニメ化ということになります。

 紛らわしい帯の文句のおかげで『妹さえいればいい』そのもののアニメ化が決まったと思い込んでいる人も散見されますが、残念ながらそうではない、あくまで「アニメ化のエピソード」が挟まれているというだけのことです。

 この巻のクライマックスではそのアニメ化の顛末が描かれることになります。

 具体的な内容に関するネタバレは避けますが、さすがというか、非常に攻めている印象が残りました。ここまで踏み込んでくるとは思わなかった。

 さらなるラブコメ展開への伏線も張りつつ、物語は進んで行きます。

 もちろん、そのあいだにテーブルトークRPGをしたり、お花見を開いたりと楽しいイベントは目白押し。お色気もあるよ☆

 ここらへんの日常描写のさじ加減はさすがに『はがない』の作家というべきか、まったくそつがありません。

 よくこの小説が売れるのはエロが多いからだといういい方をされるのだけれど、エロいラノベなんて掃いて捨てるほどあるわけで、その点はほかの作品との差別化になってはいないでしょう。

 『妹さえいればいい』がヒットしているとすれば(Amazonを見る限り相当売れているようですが)、それは純粋に作者の技量のたまものです。

 ライトノベル作家を主人公に楽しい日常を描く、それだけならきわめてありふれた素材であり、料理であるといえるでしょう。

 しかし、料理人の技量の差は細部に表れます。