アフター0〔著者再編集版〕(6) アフター0〔著者再編集版〕 (ビッグコミックス)

 「デフレ化するエンターテインメント」の記事に付いたコメントが興味深かったので、ここに転載して返事を書くことにします。

 転載にあたって、失礼ながら文頭にインデントを入れるなどして整形させていただきました。

 コンテンツ消費が楽しいのは、どういうことなのか、最近よく考えます。

 例えば、終身刑のような形で、人とは全く会うことができないのだが、コンテンツの消費やメディアへの接触は自由である環境で、コンテンツ消費は楽しいと感じられるか?

 ・・・私は楽しいと感じられるような気がする・・・

 そうであれば、ミニマムのコストで、限りなく消費できるコンテンツがある現代は、やはり楽園ということでしょう。

 なるほど、それは極限的なシチュエーションですね。

 つまり、社会と完全に絶縁した状態でもコンテンツを楽しめるか、という話だと思います。

 こういう話をするとき、ぼくがよく思い出すのは岡崎二郎のSF短篇集『アフター0』に収録されていたある作品です。

 もう記憶もあいまいなのですが、たしか宇宙線の増大によって社会が壊滅した状況でシェルターに閉じこもる男の話だったと思います。

 その男は本を愛していて、本さえあれば生きていけるという性格。

 しかし、運悪く本棚は汚染されてしまい、目の前にあるのに近づけない状態になってしまいます。

 手元に残されたのはわずか一冊の本。それも一度読んでしまえば興趣が削がれるアイディア勝負のショートショート作品集。

 さて、男はどうなるか、という話でした。

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