ネットの炎上と加害者家族叩きは時と場合によっては許される。たとえば、今回の大津事件のように加害者家族が事件の隠蔽に加担し、司法と警察がまったく機能しないときだ。
　こうしたネット炎上による加害者家族叩きは、お隣の中国でもたびたび起こっている。共産党幹部の息子が飲酒運転で人をひき殺して事件をもみ消そうとしたり、受験生が有力者の娘の替え玉にされ実力で受かった大学を落とされた事件などだ。司法や警察が裁けなかった加害者を袋叩きにし、被害者とその遺族を泣き寝入りから救ったのは、中国ネチズンたちの炎上だった。
　加害者とその家族たちは、世論の炎上を恐れた政府によって刑務所に入れられ、失脚したりしている。
　今回の大津事件にしたところで、構図はまったく同じだ。ネットジャーナリストの津田氏も言っているように「少年の親からの被害届を3度も突っぱねた滋賀県警が、1万件レベルのクレーム電話に音を上げた。ネット上の『怒りの共有』が社会の状況を変えた意味は大きい」のだ。
　確かに関係ない人を巻き添えにした悪い面はあるが、ツィッターから始まったエジプト革命でもアメリカの女性記者が性的暴行を受けるなど、大衆の怒りに暴走は付き物だ。
　そもそも警察が最初に被害届を受理していれば、ネット炎上など怒らなかったのだ。ネット住民を責めるより、中国なみに腐敗し機能していない滋賀県の教育委員会と警察こそ責められるべきだ。
　マイナス面ばかり強調するのはフェアではない。