いままでの社会においては、ひととひとは状況や環境が変わると何かしらの「別れ」を迎えることになることが常でした。
たとえば「卒業式」などは最も大々的な「別れ」のイベントであって、そこを過ぎると、それまでどれほど親しくしていた相手ともしだいに疎遠になり、ついには別れることとなる。
それが、いまままでの常識だったといっていいと思います。
もちろん、いつまでも地元に残って地元の友人とつるみつづけるという人もいるだろうけれど、それにしても状況なり環境が変化したらいままでの友人や家族や恋人とそのままの関係でいることはむずかしかったのではないでしょうか?
しかし、SNSはこの「あたりまえ」を決定的に変えました。
いつでもどこでも、ひととひとが空間の隔たりを超えて「つながっている」ことができる状態を作ってしまったのです。
じっさい、ぼくはLINEやmixiといったSNSを使って、日本中(というか世界中)の友人たちとつながっています。
ぼくは不勉強にして日本語しか使えない身の上なのでいまのところ友人は日本人に限られていますが、世界中の多様な人々と「つながる」ことも決して不可能ではないでしょう。
これによって、何が起こったか。
それは社会学者が研究するべきテーマですが、ひとつには恋愛小説やテレビドラマが「ドラマティックな別れ」を演出しにくくなったと思います。
携帯電話の普及は推理小説を作りづらくしたなどといわれますが、SNSの普及はドラマティックなラブストーリーを生み出しにくくしているかもしれません。
たとえば、幼い恋人たちが切ない別れを告げて離ればなれになる『秒間5センチメートル』などにしても、いまではそこまでほんとうに離ればなれになる必要はないかもしれません。SNSでつながりつづければいいわけですからね。
いや、
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