弱いなら弱いままで。

この世は運ゲー! 偶然が支配する現実世界の摂理を学ぼう。

2015/02/25 10:00 投稿

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 先日、『極私的ドキュメント にっぽんのリアル』というNHKのドキュメンタリー番組を見たんですけれど、これが面白かった。タイトルは「私と幼なじみ」。3月15日にBSプレミアムで再放送されるので、衛星放送に加入している人はよければ見てみてください。

 どういう話なのかといえば、まあタイトル通り「わたし」と「幼なじみ」の物語なのですが、その「わたし」はNHKでアシスタント・ディレクターをやっている身。

 築何十年という古びたアパートに住んでいて、いまのところ恋人はいません。一方、「幼なじみ」の友人はオーストラリアでオーストラリア人の恋人といっしょに住んでいて、何だかフラダンスを学んだりして優雅かつ充実した日々を過ごしているらしい。

 昔は何をやらせても「わたし」のほうが上だったのに、いったいいつ逆転してしまったのか? 「わたし」は考えこんでしまう――という筋書き。

 いつのまにか人生で追い越されてしまった「幼なじみ」のことを妬み半分疑問半分の視線で眺めながら、なんでこんなことになってしまったのかと考えこんでいく話、というふうに書くといかにも陰湿なストーリーが思い浮かぶけれど、じっさいにはそんなこともありません。

 何だかんだとはいっても「わたし」もそれなりに自分の人生に自信を持っていて、満足しているから、「幼なじみ」に過剰なルサンチマンをぶつけたりしないのだと思う。

 じっさい、「わたし」と「幼なじみ」はSkypeで国境を越えて話をするくらい仲が良くて、ほほえましい。いろいろな情緒が行き交うところも含めて、女友達というものもいいものなのだろうな、と思わせられます。

 まあ、Skypeの画面の一方は豪邸で、他方はねずみ付きアパートであるわけなのですが、それはそれ。

 しかし、それでもなお、やっぱり「わたし」の心には釈然としない思いが残っていることもたしかであるようです。

 何といっても、昔から何をやるにしても自分は常に向上心を持って頑張ってきた。それなのに、その「幼なじみ」はいつも何だかふわふわしてばかり。

 部活だって、自分はバレー部を選んで必死に努力してきたのに、「幼なじみ」はオタク系の部に入ってひたすら漫画を読み耽っていた。

 だからほんとうなら自分のほうが上のポジションにいなくてはならないはずなのに、なぜか彼女はオーストラリアの豪邸で、自分はねずみがダンスを踊るアパート――おかしいじゃないか、というわけです。

 これはじっさいもっともな話だと思うのだけれど、まあ、現実がそうなのだから仕方ない。それにしても、何をやらせてもふわふわしている「幼なじみ」が、いったいどうやってオーストラリアの金持ちをゲットしたのか? この話が面白い。

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