弱いなら弱いままで。

「いやな奴」はどこまでいやな奴なのか。

2015/01/20 16:04 投稿

  • タグ:
  • 漫画
  • SF
  • 今井哲也
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 どうも。長いあいだお待たせしました。インフルエンザからほぼ完全に回復したので、更新を再開します。

 いやー、今回のインフルはしつこかった。熱はすぐに下がったものの全身の倦怠感がしばらく続き、だるだるっとした気分で家に張り付いているよりほかありませんでした。

 やっぱり風邪ひいていると長い文章は書けないものですね。書いては消し、書いては消したりしていたのですが、どうしてもまともなものが仕上がらなかった。健康大事。

 それにしてもこういう時、Kindleのシステムはものすごく便利です。自室にいながらにして欲しい本を欲しいだけ手に入れることができるし、また入手した本を読むこともできる。

 ひと昔前だったら考えられないことだったわけで、まさに神システムというしかありません。不満は色々あるけれどね。

 そういうわけで、以前、Kindleで落としていた今井哲也『ぼくらのよあけ』全2巻を読み上げました。漫画の長編化が進みつづけるきょう、全2巻の作品というと「さては打ち切られたか」と勘ぐられそうですが、この漫画はたった2冊できれいに終わっています。

 特に傑作というほど飛び抜けた何かがあるわけではないのですが、いまどきめずらしい王道ジュヴナイルSFの快作といっていいのではないかと。

 物語は2030年代の近未来を舞台に、地球へ落ちてきた異星の宇宙船を宇宙へ還そうとする少年たちのひと夏の物語を綴って行きます。

 2030年代ということで現代に比べて科学が進歩していて、人工知能なども発達しているものの、基本的にはいまと変わらない社会の描写です。

 じっさい、こういう近未来を描くのはものすごくむずかしいと思う。あっというまに現実に追い抜かれて古くなってしまいますし、現実的な未来予想をしただけではSFとして面白みがありませんから。

 その、いまと少しだけ違う、しかしいじめもあれば犯罪も残っている社会で、ひと夏の冒険が繰りひろげられるわけです。

 2030年代というと『攻殻機動隊』シリーズとほぼ同じ時代なのですが、あそこまで生活に大きな変化があるようには見えません。まあ、『攻殻機動隊』の世界は二度に渡る世界大戦を経験しているんですけれどね。

 基本的にはとても面白いSF漫画で、『大長編ドラえもん』などに近い雰囲気を感じさせます。作中の男の子たちがストレートな人間関係を築いている一方、女の子たちは複雑で陰湿ないじめ関係を構築しているというあたり、ちょっと定型的かな、という気もしないでもありませんが。

 というか、作中のすべての描写が、おそらくは意図的に「どこかで見たことがある」ものに仕上げられていて、それが長所とも短所ともいえると思います。まったく斬新なものを目指そうとしたというよりは、「なつかしい未来」を指向した作品だったのかな、と。

 印象的なのは、脇役で出て来るいじめっ子の女の子。彼女はひたすら周囲をいじめる「いやな奴」として描かれるのですが、ある時、構図がくるっと逆転して、「いじめられる側」へと転落します。

(ここまで1253文字/ここから970文字) 

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