いまではしみじみとよくやったものだと思うのだが、時間さえあればブログのアイディアを考え、記事を書いて更新していたのだ。ぼくはいまでこそ趣味のブログを放置しているが、一時期はとても熱心に更新していた。
その頃のぼくは「はてなダイアリー」でもトップクラスのアクセスを叩きだしていたと思う。いわばブログという名のゲームを攻略することに夢中になっていたのだ。
じっさいブログというメディアはオンラインゲームじみたところがある。アクセス数という形ではっきり結果が出るところ、研究していると何らかの「攻略法」が見えてくるあたりもゲームっぽい。
あるときのぼくはそのゲームを解き明かすことに自由時間の大半を注ぎこんでいた。それくらいブログとはおもしろいゲームだったのだ。いかにして読者の心理を読み切り、アクセス数という数字を稼ぎだすかを競うタフなゲーム。
タイトルを考え、記事内容を考え、最大限に注目を集めるような煽り文句を考えて記事をアップする。それがうまくはまって注目が集まるとある種のカタルシスがある。生身の人間の心理を読み切ったことの快感だ。
ひとりひとりの人間の心理を読むことは困難だが、それが集団になるとわりと明快に予測できる。ブログを書いていると、だんだんそのことがわかるようになっておもしろかった。むろん、その頃は直接的な金銭的収入はほとんどなかった。アフィリエイトというかたちでの間接収入はいくらかあったが、微々たるものだった。
それでも最大で数万円には達しただろうか。ただ、それはあらゆる意味で無理に無理を重ねた上での結果だったので、達成感よりも限界を感じさせた。ひたすらに数字を稼ぐことが目的化するとゲームはおもしろくなくなってくる。
いつしか、ぼくはこのゲームを実質的に引退することを考えるようになっていた。それでも、一時は「これ以上はできない」というところまでやったことはたしかだ。じっさい、オタクブログないし書評ブログとしては、あるリミットまでやってのけたといまでも思っている。
そこにはどうしようもないむなしさがあったが、たぶん、ゲームというものはすべてそういうものなのだろう。無意味であるからこそおもしろく、それでいて時が経つと夢から醒めたように興味がなくなるものなのだ。
それから時が経って、ぼくはいまこのブロマガで、もういちどかつての自分に戻ろうとしている。「昔とった杵柄」ではないが、こうして熱心に更新してはアクセス解析をのぞき込んでいると、かつての熱狂を思い出す。
直接的に金銭的収入を得る方法ができたことで、ブログにつきもののむなしさは乗り越えられた。ただ、ブログからお金を得ることはただアクセスを集めるよりもっとむずかしいことは当然だ。ようするにいまぼくがやっているのは一度飽きてしまったゲームの「上級モード」というか「ハードモード」のようなものなのだ。
どうすれば攻略できるのか。とんでもない有名人やら企業に混じって、無名の自分にどこまでできるのか。腕が鳴る。昔は数字を追い求めすぎたためにずいぶんミスも犯したものだが、その痛みとともに学習したこともある。今度はうまくやれるのではないか。
レディ、ステディ、ゴー。さあ、もう一度だけブログという名のオンラインゲームに乗り出そう。自分の全知全霊を賭けて、人々の興味と注目を集めよう。いい記事を書きたい。このクールなゲームの優れたプレイヤーになりたい。いまこそ実力が試されるとき。
反感を買うかもしれないけれど、そんな気分で記事を書いています。おもしろいよ、ブログは。
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