「べクデル・テスト」と女性リーダーが登場する物語。
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前の記事、予約更新するつもりがリアルタイム更新してしまった……。まあいいか。さて、良ければまず以下の動画を観てみてください。
コリン・ストークスによる「映画が男の子に教えること」と題されたプレゼンテーションです。
このなかで、ストークスは『オズの魔法使い』と『スター・ウォーズ』を例に挙げて、ハリウッド映画のシナリオが男性中心的に偏向していることを指摘しています。
かれは「ベクデル・テスト」という言葉を用います。これはその映画において女性がどう扱われているかを示す以下のような内容からなるテストです。
1.作中にふたり以上の名前を持った女性が登場すること。
2.女性同士が一回以上直接話をすること。
3.その話の内容が男性のことでないこと。
大半の映画が簡単にパスできそうに思える条件ではありませんか? このテストを通らないような映画は極度に男性中心的に偏向しているといえるでしょう。
ところが、ハリウッド映画の多くがこのテストをパスできないというんですね。たとえば『スター・ウォーズ』三部作とか、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作は両方ともパスできないということです。
これはなかなか凄いことだと思う。Googleで検索して見つけたどこかのブログで、「逆だったらと考えてみると構造の非対称性がよくわかる」という意味のことが書かれていました。
それはたしかにその通りで、この条件の「女性」のところを「男性」に変えたらそのテストにパスしない作品は少ないように思います。
そういう文脈で考えてみると、いまなお、ハリウッド映画も男性中心的に描かれているのかな、という気がして来ます。
さて、ひるがえって、わが日本を見ていくと、どうだろう。アニメやライトノベル作品の大半は、条件の「1」は一応はクリアしていることになると思います。「2」もクリアしている作品は多いでしょう。
しかし、「3」でひっかかることは少なくないんじゃないかな。女の子が口を開くと男のこと以外の話をしない、という作品はいっぱいありそうな気がします。
とはいえ、何十年か前と比べれば、日本の物語における女性観もしだいに変わりつつあるとはいえるでしょう。ご都合主義がないというつもりは毛頭ありませんが。
個人的には、ベクデル・テストに合格できるような作品の評価は高くなります。やっぱり女性同士の男性を介在しない関係を見たいという欲望はある。だから百合ものなんかが好きなんですよね。
ぼくは女性同士の恋愛ものもまあ好きは好きですが、それ以前に女性同士の豊かな関係を見たいと思っているわけです。男性が介在してもかまわないのだけれど、それはいいかげん食傷気味なので、男性が介在しない関係を見たいという気もちがある。
それはべつにそういう作品が男女平等の観点から見てより正しいからというような立派な理由ではなく、ただそういう作品のほうが面白そうだと感じるからに過ぎません。
アニメの『Kanon』で、あゆと真琴が一瞬だけやりとりするアニメオリジナルのシーンとか、好きだったなあ。どれだけ共感してくれるひとがいるのかわかりませんがw
上記した動画では、映画『オズの魔法使い』を通じ、女性が集団のリーダーシップを取る映画がもっとあってもいいということが示唆されていますが、これはぼくもそう思います。
ぼくは集団のリーダーとしての女性キャラクターに非常に魅力を感じる、というか「萌え」ます。
ただ、ここらへんも微妙なところで、『十二国記』の陽子とか、『攻殻機動隊』の草薙素子みたいな性差を超越してしまったようなキャラクターだと、やはりもうひとつ「萌え」ないんですよね。
これはもう、差別だといわれてもいいのですが、フェミニンな要素を残したままのキャラクターがリーダーシップを取る物語が見てみたいのです。
そういう意味では、『Fate』シリーズはかなり惜しい。
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