映画『藁の楯』を観て来た。最近、話題作は一応は観ておこうかな、という気分になり、色々と映画を観ているのだが、ふしぎなもので一作観るとほかの作品も観たくなる。いままではほとんど観ていなかったのにね。やはり劇場で予告編を観る意味は大きい。
さて、『藁の楯』。過激なバイオレンス描写で知られる三池崇史監督が大沢たかおを主演に据え、松嶋菜々子、藤原竜也、山崎努、岸谷五朗ら豪華役者陣を脇に配して撮り上げた大作である。
物語は日本の財界を牛耳る大物、蜷川隆興(山崎努)の孫娘が猟奇殺人鬼・清丸国秀(藤原竜也)の手にかかり殺害されるところから始まる。
清丸は容疑者として全国指名手配されるものの、なかなか捕まらない。そんなある日、全国紙の紙面に「清丸を殺し、有罪判決を受けた者に10億円の謝礼を支払う」という広告が掲載される。
清丸への復讐を狙う蜷川の策略だ。結果、清丸は自首し、SPの銘苅一基(大沢たかお)と白岩篤子(松嶋菜々子)は清丸の護送中の警護を命じられる。
福岡から東京まで、陸路1200キロメートルの長い「旅」。しかし、その過程には清丸を狙う者たちが群がり、さまざまなトラブルが発生しつづけるのだった、というお話。
個人的な感想をいわせてもらうと、なかなかの力作、というところだろうか。何より荒唐無稽なアイディアを、色々な視点から考察しながら、それなりに現実世界に着地させている力技は凄まじい。
どう考えても無理で無茶なアイディアなのだが、物語のなかだけなら筋は通っている。もちろん、仮に現実に同じことが起こったとして、同じように展開するとはとても考えがたいわけだが、あくまでも映画のプロットとしては十分に「あり」だろう。
だれよりも殺人者を憎んでやまない主人公が、命だけで幼女殺人犯を守らなければならない深刻なパラドックスが決まっている。ドラマの掴みはバッチリだ。
そのあと、映画はその葛藤を中軸に、過激にヒートアップしていく。外の殺人者予備軍に備えながら内に裏切り者を抱え、だれも信じられない状況に追い詰められていくサスペンスフルな展開は素晴らしい。ひとつひとつのガンアクションも迫力十分。
ただ、この映画、ぼくはもうひとつ熱くなりきれないものを感じた。
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