それでは、テオ(テオドルス)・ファン・ゴッホのことはご存知だろうか。こちらはフィンセントに比べれば知るひとは少ないと思われる。生涯にわたって孤独な画家を支えつづけた画商の弟だ。
穂積『さよならソルシエ』はこのテオを主人公に据えた長編漫画。穂積といえば、短篇集『式の前日』で話題をさらい、いっきに漫画読みに知られるようになった作家だ。
式の前日 (フラワーコミックス)
穂積
小学館 2012-09-10
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その穂積の初めての長編がどのようなものになるか、期待していたひとは多いだろう。しかし、ゴッホ兄弟、それも弟を主役に据えるとは!
いままで兄フィンセントを描いた漫画はあっても、弟テオに着目したものはないのではないか。これだけでもう、面白そうだ。
しかし、穂積描くテオは、そしてフィンセントも、ほぼオリジナルキャラクターといっていいほど史実からかけ離れている印象を受ける。ぼくはゴッホ兄弟に詳しいわけではないが、さすがにこれは漫画家の創作だろう、と思われるエピソードが多い。
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