アルテイシア『モタク』をちょっと読み返してみました。モタクとは「「モ」テるオ「タク」」の意味。なんとか女の子と付き合いたいけれどどうしたらいいかわからない!というオタクたちに「こうすればうまくいきますよ」と教示する福音の書です。
まあ、こういう「モテ指南本」は数限りなくあるわけですが、これはなかなか親切丁寧で興味深い。もちろん、これを読めばモテるのかどうかは保証の限りではないけれど、暗闇に一条の光が指すくらいの効果はあるのではないでしょうか。
以前から書いているように、ぼくはオタクが空気を読んで時代の常識に合わせるべきだとはまったく思いません。よほど不潔な身なりをしていたり、非常識な行動に走ったりしない限り、べつにだれに迷惑をかけているわけでもないわけで、好きに生きればいいでしょう。
しかし、もし「恋愛市場」に上場し、その市場で自分を売り込みたければ、市場の現状を研究し、それに合わせる努力は当然だと考えます。
自分を一個の商品として見、いかにして売るか、そういう考え方はごく自然なものなのでは。
もちろん、「市場における商品価値」がそのひとのすべてではありません。異性にはまったくモテなくても素晴らしいひとはいくらでもいるでしょう。
ですが、「市場」で高い評価を得たかったら「商品価値」を磨かなければならないことは当然のことです。ここらへん、割り切れるひととそうでないひとはいるでしょうね。
そう、お金や外見ではなく「ありのままの自分」を愛してもらえなければ意味がないのだ、というひともいるに違いありません。
しかし、「ありのままの自分」って何でしょう? 生まれた時の自分がそうなのでしょうか? もしそうだとするなら、そのひとが人生をかけて身に着けてきたものすべてが無意味ということになってしまいます。
また、見かけではない「心」を認めてほしいと思うのかもしれないけれど、心なんて目には見えないので、直接には評価しようがない。その心から生まれる行動なり言動を評価するしかないのです。
ひとの真心が相手に伝わるまでには時間がかかる。だからファースト・コンタクトの時点では外見などで判断するよりほかない。そういうものです。
そもそも「おれは非モテだからうんぬん」ということで悩みつづけるひとが女性にウケないのはあまりにもあたりまえではないかと思います。だって、自分のことしか考えていないんだもん。
自分のルサンチマンやコンプレックスのことしか頭になくて相手のことを考えないひとが、いつも相手のことを考えているひとに比べモテないのは自然で当然のことではないでしょうか。
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