糸井 つまり、大事なのは5行なんだけど、「5行じゃ商売になんないんだよ」っていうことなんですね。商品としての売り都合で、「大事な5行だけ」っていうかたちはちょっと困るわけです。それが、これまでぼくらが生きてきた資本主義社会のルールだったんですが、震災のように、とにかく実行力が必要とされる場では、そういう売り手の都合ってちっとも手助けにならないわけです。つまり、5行とか6行で伝わることなら、1500円の商品にするためにパッケージをつくったり時間をかけたりするのは意味がない。
佐々木 そうですよね。
糸井 その5行とか6行がほんとに伝わったら、ここでこの人たちが助かるとか、物事がうまく回るとかだったら、利益やお金を生まなくっても、人は自分の仕事として納得できるんですよ。
佐々木 そのとおりですね。お金は、まぁ、どっかで生まれればいい。
糸井 そう。ものごとを維持して回して行くための最低限のお金が、ときどきどっかで挿まれればいいんです。
損して得取れ。マネタイズのルートがひとつあれば、ネットのすべての活動はお金に繋がる。(2212文字)
これがすごく面白かった。震災とネットを軸に、現代社会について縦横に語り尽くしている。いろいろと取り上げたいところはあるのだが、特に興味深かったのが以下の箇所。
なるほど。すごくわかりやすい。個人的にキーポインドとだと思うのは「お金は、まぁ、どっかで生まれればいい」というひとこと。これはたしかにその通りだ。つまり、自分の行う活動すべてがお金に直結している必要はないということだ。
以下に書くことはちょっと本文の論旨とは違うかもしれないが、ぼくはこう思うというふうに理解してほしい。
まず、自分の絵なり文章なり音楽なりをマネタイズしようと思ったとき、それを商品として売るルートが必要になる。いわば「お金が湧き出てくる泉」である。いくらネットで八面六臂の活躍をしていても、このルートがなければお金は入ってこない。当然のことながら、それではビジネスとして失敗だ。
しかし、ここで重要なのは、お金が湧き出てくる泉は最低ひとつあればいいということ。もちろん、複数あればそれに越したことはないけれど、とりあえずひとつだけでも用は足りる。
その泉が何であるかはひとによって違うだろう。出版かもしれないし、メルマガであるかもしれないし、あるいは電子書籍ということも考えられる。逆にいえば、それ以外の,活動はお金にならなくてもかまわないのだ。
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