山尾悠子の『歪み真珠』を読み終えた。2010年に発表された山尾の何十年ぶりかの作品集である。
タイトルだけでもわかる人にはわかるように、バロック風のイメージで織りあげた一冊、ということになっている(バロックとは「歪んだ真珠」から生まれた言葉だ)。
「ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠」に始まり、「紫禁城の後宮で、ひとりの女が」に終わる十四の掌編、及びひとつの短篇が収められているのだが、それぞれの作品がバロックな想像力を感じさせるよう工夫されているということなのだろう。
「娼婦たち、人魚でいっぱいの海」とか、「ドロテアの首と銀の皿」など、題名からしていかにもバロック、という感じ。
じっさいに読んでみると、なるほど、と思わないでもない。まさに「歪んだ真珠」さながらのイマジネイション。バロックとは過剰の芸術だと人はいう。たしかに、作中の描写にはいかにも過剰なイメジャリーが並ぶ。
そもそ
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