弱いなら弱いままで。

細田守は家族と血脈を愚直に描く「骨太の物語作家」だ。しかし――

2018/08/08 11:29 投稿

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◆細田守の「聖母」。

 細田守という映画監督のことを考えています。

 いままでどうにも捉えどころがないような作家だと思っていたのですが、『未来のミライ』を見たことで、ちょっとわかったように思います。

 この人は、たぶん、本来、シンプルでプリミティヴな物語を作りたい人なのですね。

 でも、時代が時代だから、なかなかそれができない。それで、その歪みが作品に刻印されることになる。そういうことなのかな、と。

 もう少しわかりやすく説明しましょう。

 細田監督のいまのところ最もかれらしい作品にして、いちばん賛否両論を呼んだのは『おおかみこどもの雨と雪』だと思います。

 これはまあ、ぼくの目から見ても批判が生じるのはよくわかるような映画なんですよね。

 何といっても、女性の、あるいは母親の描き方にまったくリアリティがない。現代の映画としてはいかにも受け入れがたい。

 でも、同時に、この「リアリティのな

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