『万引き家族』とハリウッド映画的二元論。
映画『万引き家族』を先行上映で見て来ました。カンヌ映画祭のパルムドールを取ったことで有名になった作品だけれど、なるほど、これは傑作。
万引きでつながった切ない家族の関係と、その崩壊を描いて、視聴者に思考を強います。
ちなみに、この映画、是枝監督による発言がミスリードになっているけれど、社会の告発を目的としたものではありません。
そうではなく、もっと複雑で深淵なテーマを扱った作品です。右翼的に批判するのもばかばかしいけれど、左翼的に賞賛するのもくだらないですね。
特定のイデオロギーにもとづく批評の限界を見る思いです。
映画のなかでは、善人とも悪人ともいいきれない人間たちの卑小で愛すべき姿が描かれていきます。
ここにあるものは、「善」だとか「悪」だとかいうわかりやすい善悪二元論で人間を裁かない姿勢です。
人間は、そしてこの世の出来事は単純な善悪では割り切れないという成熟した態度
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