まあ実際、人間という生き物はぼーっとしてたら悪いほうに流されやすい生き物だよな
茨木のり子いわく、水やりを怠るとすぐにぱさぱさに乾いていくのが人間性ってもんだ

それでもまあまあ世間は許してくれて、そんな弱い自分でいてもいいよと言ってくれる
それが神の慈悲か悪魔のささやきかはわかんないけど、そうやって緩やかに死にかけている人間にとって、正義とか善意に生きようとしてる人間ってまぶしいんだろうな

誰しもひたすら努力できるわけでもないし、信念を杖にして歩いていけるわけでもない
正しいことをしようとするには莫大なエネルギーがいるわけで、反対に堕落しようと思えばいくらでも動かずに沈んでいける
正義が伝播しない、というよりしにくいのは当たり前のことで、それは一人ひとりの正義が違うからとかいう価値観の相違から来る問題じゃない
たいていの人の心には、自分の信念をまっすぐ担いで歩くだけの余裕がないからなのだ