■生放送告知
3/2(土) 21:00~
「小説家になろう」ニコ生
歴史は一本の河である。ときに凪ぎ、ときに荒れながら、ただはてしなくながれていく。血が河面を赤く染めることもある。後世のひとは、そんな哀しみの時代を指して乱世と呼ぶ。
三世紀から六世紀にわたるいわゆる魏晋南北朝時代は、中華帝国の長い歴史のなかでも屈指の乱世にあたるだろう。この頃、中国は南北に分裂し、まとまることがなかった。
もちろん、統一しようとする意思そのものは存在し、しばしば人馬の奔流と化して北から南へ押し寄せ、そのたびに死闘を生んだ。そんな死闘のひとつに鐘離の戦いがある。南朝梁がまだ建国まもない頃、北朝魏はその数、80万におよぶ大軍を編んで梁に攻め入った。
守る梁軍は30万。はたしてかれらはいかにして圧倒的な奔流を食い止めたのか? 田中はこの地上最大の大軍が淮河のほとりにに敗れ去るまでを、丹念に描き出していく。
ちなみに、この数十年後を舞台とする梁亡国の物語が「長江落日賦」であり、その後日談が「蕭家の兄弟」ということになる。そしてそのさらに後、隋の時代のことは『風よ、万里を翔けよ』で語られている。
歴史は一本の河であり、ひとつの物語はかならずほかの物語へと続いている。優れた歴史小説はそんなことを思い出させるものだ。しかし、とりあえず『奔流』に話を限ることにしよう。
本書の主人公は陳慶之という青年だ。この物語が始まる年に、かれは若干23歳、しかし、既に梁国の将軍の地位にある。寒門の出身でありながら、その才能を見出され、栄達したのだ。驚くべきことに、この陳慶之は実在の人物である。
コメント
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陳慶之の小説なんてあったんですね。是非読みます。