瀬名秀明の『瀬名秀明ロボット学論集』と並行して、杉田俊作『宮崎駿論』を読んでいる。何度目かの再読である。
宮崎駿の漫画や映画を題材にした批評書は何冊も出ているが、この本は際立って面白い。
宮崎駿の過去の全作品を素材に、表現論、自然論、さらには宮崎駿その人の人物論に至るまで、縦横に語りつくしている。
興味深いのが、宮崎監督の(いまのところの)最新/最終作である『風立ちぬ』への評価だ。この本にはこう記されている。
ひたすら戦闘機を作っては失敗し、作っては墜ち、炎上した。そして夢の飛行機の制作にようやく成功しても、何の達成感も喜びもなかった。目の前には、あたり一面、夢の残骸と廃墟が広がっている。人生を賭した夢は、ついに誰をも生かさなかった。国民も、家族も、愛する人も、そして自分すらも。
『風立ちぬ』は、そんな映画に思えた。(中略)堀越二郎の、あの、無表情な顔。あれ
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