大崎麻子(おおさき・あさこ)/ジェンダー・開発政策専門家大学院在学中に長男を出産。国連開発計画(UNDP)NY本部開発政策局で、ジェンダーと女性のエンパワーメントを担当し、世界各地で多くのプロジェクトに携わる。在職中に長女を出産。産休明けには娘をおぶって5カ国に出張。退職、帰国後はフリーの専門家として、国際機関、NGOで活動中。関西学院大と聖心女子大で「ジェンダー論」を教えている。「サンデーモーニング」(TBS系)など、報道番組のコメンテーターも務める。著書に『女の子の幸福論~もっと輝く、明日からの生き方』(講談社)。公式サイト>>
「いったん組織から離れ、子どもの成長にしっかりと向き合う選択肢もあるのでは」。上司に相談すると「キャリアはいつどんな形でも続けられるけど、子どもはあっという間に大きくなってしまう」と後押ししてくれた。7年勤めた国連を退職し、2004年11月に帰国した。
国連職員という職場を離れることに躊躇はなかったのだろうか。
「自分の気持ちにしっかりと向き合って決めたことです。自分で本当に『こうしよう』と思ったことは、後になっても『あのときそう思ったんだから仕方がないな』と納得できるし、軌道修正や切り替えもしやすいのです」
■「いろんな人がいるからストロングなんだ」という教育を
帰国後は、国内では貴重なジェンダー・開発専門家としてフリーで働いている。ライフワークは「女性も子どもも、持って生まれた可能性を開花させられる国や、社会をつくること」。その活躍の場は政府関係機関、NGO、教育機関等と幅広く、政策提言も行っている。テレビのコメンテーターの仕事も多いが、被災地や地元では地域に根ざした活動を続けている。
ニューヨーク時代には、保育園の園長先生と子育てについての話をし、教育方針が一致したところを探した。だからこそ日本の保育園の位置づけには厳しい目を向けている。
「日本では保育園の存在を子どもを預かる場所というか、福祉的なものと考えていますが、世界でいま声高に言われているのは、2~3歳から質の高い先生による質の高い教育を受けさせることのメリットなんです。そういう文脈で保育園の重要性が語られないようではまだまだです。そして集団生活の中で、1人ひとりが違うこと、多様性のあることはいいことだと学ばせてほしいですね。もうそろそろ『いろんな人がいるからストロングなんだ』という教育に転換すべきではないでしょうか」
2011年には子育てに関してマインドを同じくする母親と一緒に「グローバル・ママ・ネットワーク」というグループを立ち上げた。「近所のママ友だちより、たまに会うゆるいネットワークでの方が本音は話しやすいですからね」。政治から健康までさまざまなテーマについて勉強会もしているそうだ。
今年2月、初めての著書を上梓した。『女の子の幸福論~もっと輝く、明日からの生き方』だ(講談社)。子育てをしながらグローバルな職場で働いた経験やこれからの社会で女性が生きていくための知恵やスキルを紹介した。
■子育てはケアの量じゃない
カフェグローブ世代にも子育てと仕事の両立に悩んでいる女性は多い。思い通りにいかない現状をどう乗り越えていけばいいのだろうか。
「子育てはケアの量だけじゃありません。母親が社会や人と関わっていく姿を積極的に見せていくことはとても大事なことです。仕事の話をもっとしたらいいし、母親が社会と繋がっている様子をリアルに見せてあげればいい。そうすれば子どもはこの社会を信頼するようになる。子育てのゴールは子どもが1人前の人間としてこの社会で生きていくことなのですから。そして女性はもっと自分の人生を長期的なスパンで捉えていいと思います。年齢軸からもっと自由になればムダに焦りを感じることはなくなる。意外といくつからでもできることは多いですよ」
(取材・文/金子えみ)
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【応募方法】
宛先: info_cafeglobe@mediagene.co.jp
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2013年8月11日(日)
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