「ジミーチュウ(Jimmy Choo)」の新作パンプス。5万円を超える買い物は、ちょっと考えますよね。でも5000円の「JINS」のPCメガネは、気軽に買える。金額こそ違いますが、このお金の使い方には共通点があります。それは、モノとお金を交換しているということ。
靴でもメガネでも、洋服でも、そしてお弁当でも、お金を払った代わりに「モノ」を手に入れています。
経済学ではお金は3つの機能を持つ、と言われています。逆説的に言うと3つの機能しかありません。その3つはシンプルで、交換、尺度、貯蔵、です。
ちょっとむずかしい言葉ですが心配しないでくださいね。この経済学での3つの機能を上手に使って、賢く美マネする方法をわかりやすく説明いたします。
■お金が持つ3つの機能をどう使う?
まずは簡単に、3つの言葉の説明です。
1つ目の交換は、お金と何かを交換するということ。買い物はまさにモノと交換していますよね。お金と交換できるものは2つあります。それはモノとサービス。たとえば、エステに行って3万円の支払いをすれば、お金とサービスを交換しているということになります。飛行機代や携帯代金も、お金とサービスを交換しています。
2つ目の尺度は、物の価値をはかるということ。つまり、1000円のペンと1万円のペンが並んでいたら、1万円のペンのほうが良い、という数値化された尺度となるのです。
当たり前のことですが、私たちは全てのものをコストパフォーマンスという価値の尺度でみていますよね。1000円のパスタランチが美味しいと感じても、同じ味で3000円支払ったら美味しいとは感じられません。その価値の尺度は「値段」というもので計られているのです。
3つめの貯蔵。これは貯めるということ。昔、物々交換しかなかった時代のころ、肉と魚を交換していましたが、必要以上に交換すると腐ってしまい価値がなくなってしまいました。そこでお金というものが誕生し、腐らない形として貯蔵できるようになったのです。私たちが普段行なっている貯金もそうですね。銀行にお金を入れておけば腐ることはありません。
この3つの機能で注目する大切なポイントは「交換・尺度・貯蔵の全てを使う」ということです。
貯蔵って貯金のことでしょ!? と思いがちですが、もっと賢い方法があるのです。ポイントは最初にでてきた、テレビでも雑誌でも話題になった「JINS」のメガネ。
■「JINSを買う」方法は2種類ある
話題になっているメガネを5000円払って買うという方法が1つ。これは、1つ目の「交換」機能を使ってお金とモノを交換し、さらに2つ目の「尺度」ではコストパフォーマンスが良い買い物ですよね。買い物としてはとても良いのですが、一般的にはこれを消費と言い、「交換・尺度」の2つの機能しか使っていません。
でも、3つの機能すべてを使うと、ちょっと違ったものが見えてきます。
たとえば、JINSの会社は2006年に株式上場しています。上場している会社の株は誰もが買うことができます。つまり、「JINSを買う」ということは、「JINSメガネを買う」のと「JINS株を買う」という2種類があるのです。
直近の3年間をみてみると、JINSメガネの価格は5000円からほとんど変わっていませんが、JINS株の価格は大きく変わっています。2009年時点で39円だったJINS株が、最近では5000円で推移。なんと100倍以上にもなっているのです!
つまり、3つの機能をすべて使うということはお金を、価値の高い「尺度」のモノに「交換」して「貯蔵」する、ということになります。
たとえば、5000円のメガネを買っただけなら、お金(=5000円)をコストパフォーマンスの高いメガネに交換しただけで完結しています。
でも、2009年にJINS株5000円分を買っていたとしたら、お金(=5000円)を5000円以上の価値のある株に交換し、そのまま3年間貯蔵して、100倍の50万円にしているのです。
3つの機能を掛け合わせるだけで、これだけの違いがでてきます。たとえば、銀行預金などは「交換」の機能を使っていません。100万円のお金を、100万円の尺度として貯蔵しているだけなので、3年たってもほんのわずかな金利分しか増えないのです。
この3つの機能を掛け合わせると、ジミーチュウのパンプスがいくつも手に入る、賢い美マネな使い方になるのです。
photo by Thinkstock/Getty Images
(文/泉正人)
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