「スキンケアも内側から」とヘルシーな食事を心がけているのに、どうも肌の調子が悪くて......。それって腸のコンディションが悪いのかも。「アンチエイジングや美肌のためには腸ケアは欠かせません」と話す管理栄養士の花谷遊雲子さんに話を伺いました。
―そもそも「腸のコンディションが悪い」ってどういうことですか。
「腸がしっかり動いていないこと。つまり、どんないいものを食べてもその栄養がうまく体内に吸収されない状態のことです。
栄養が吸収されないだけでなく、吸収されずに腸内に残った脂質やたんぱく質などの"かす"は悪玉菌によって腐敗してしまいます。この毒素がさらに血流に乗って体内に回ると、吹き出物や肌のくすみの原因になります。
新陳代謝も悪くなりますから、疲れや冷えも感じやすくなってしまうのです」
―年齢にも関係が?
「はい。特にカフェグローブ世代の女性は注意が必要です。実は、腸の動きって自律神経とすごく関係が深いのですが、この自律神経が乱れやすいのが40代女性なのです」
自律神経には、緊張モードのときに高まる交感神経とリラックスモードのときに高まる副交感神経があります。腸との関係を言えば、交感神経が優位なときには腸の動きが抑制され、副交感神経が優位などきには腸がよく動くようにできています。
交感神経と副交感神経のバランスがとれているのが理想なのですが、40代の女性は仕事に子育てにと忙しく、休む暇がなかったりしますから、いつも交感神経が優位な状態(=腸の動きが抑制される状態)になりがちです。その上、生理学的にも女性は40代で副交感神経の機能がガクンと落ちるといわれています。腸にとっては悪条件がそろう時期なのです」
―腸の動きを改善するにはどうしたらいいのでしょうか。
「腸の環境を整えてあげることですね。善玉菌の代表である乳酸菌やビフィズス菌を増やしてくれる食品を積極的にとるようにします。具体的には、ヨーグルトや乳酸菌飲料、キムチ、ぬか漬けなど発酵系のものですね。
『生きたまま腸に届く』菌はもちろん効果的ですが、生きたまま届かなくても(菌が死んでも)有効なので、ぜひ!
さらにオリゴ糖や食物繊維など善玉菌の『えさ』となる食品も一緒にとると効果的です。オリゴ糖は、はちみつ、バナナ、大豆食品、納豆、ヨーグルト、きなこなど。食物繊維は野菜、果物、大豆製品、海藻、きのこなどに多く含まれています。
あとはもちろんバランスのいい食事を心がけること。運動することで腸を物理的に刺激することも大切ですよ」
―おすすめの食品は?
「みそ汁やキムチでもちろんいいのですが、1度でしっかり乳酸菌の量がとれるヨーグルトや乳酸菌飲料は手軽。カロリーオフ、フルーツ入り、抗アレルギー作用や整腸作用が強いものなどいろいろ出ていますから、気になるものを試してみてください。
ヨーグルトなら毎日100g以上、まずは2週間始めましょう。『便がスムーズに出るようになった』『おならの臭いが気にならなくなった』『肌がキレイになった』といった変化があればOK。そのヨーグルトが自分に合っているということです。
私は朝食でヨーグルトを食べるようにしています。蜂蜜ときな粉をかけて食べたり、フルーツヨーグルトにしたり。間食に食べるのもいいと思いますよ」
―腸が良くなるとどんな変化が?
「下痢や便秘がなくなるのはもちろん、肌荒れも改善します。1カ月でもいい変化に気づくはず。まして10年後の肌には大きな違いがでますよ。逆にいえば、口に入れるもの、肌につけるものにどれだけこだわっても、腸のコンディションが悪ければ意味がないということ! 腸ケアこそアンチエイジングの基本です。
あとは腸の動きが良くなることで自律神経もバランスがとれ心が安定してきます。いいこと尽くしの腸ケア。仕事や育児にがんばっているカフェグローブ世代にこそ始めてほしいですね」
花谷 遊雲子 (はなたに・ゆうこ)株式会社BODY TIPS 管理栄養士。オリンピック選手を含め、さまざまな競技、年代のスポーツ選手をカラダづくりの面でサポートする。シンクロナイズドスイミング日本代表管理栄養士としても活躍。「BODY TIPS」では多くの女性の「痩せたい」「ハリ・艶のあるカラダを取り戻したい」「むくみや冷えを解消したい」といった悩みに応じ、1人ひとりに合ったコンディショニング法を食事面から提案している。
(取材・文/金子えみ)