まず建物。屋根瓦は中国、窓枠は韓国、壁はイオニア式......と、多人種が暮らすハワイを象徴するように各国の文化がミックスされているけれど、違和感は全くありません。中庭を囲むように作られているギャラリーも、ハワイの気候を活かし、自然光が最大限入るよう設計させていているのが特徴。
ギャラリーは、部屋ごとに壁の色とテーマがガラッと変わる仕掛けがユニーク。青い壁の部屋は古代のものとそこからインスピレーションを受けたものを、オレンジの部屋は肖像画のみを展示、というように。青い壁の部屋は以前、古代のものだけを展示していたそう。ミックスすることで、いつの時代も体をモチーフにしたものは、人々を魅了してきたことがわかるというわけです。ピカソやモネも必見ですが、こういう気づきを与えてくれる展示方法も、感性を揺さぶってくれるはず(水・金・土の10~12時は、日本語によるガイドツアーがあるので、ぜひ申し込みを!)。
『ホノルル美術館』は、浮世絵や美人画の収蔵数が多いことでも有名です。特に浮世絵は、ボストン美術館、シカゴ美術館に次ぐ全米3位の収蔵数。しかもそれが、美術館の創立者アナ・ライス・クック夫人が個人的に収集してきたもの、というからすごいですよね(浮世絵や美人画を含む5万点以上のコレクションは、すべてクック夫人が世界中から収集したもの)。
2階のフロアは、すべてハワイ美術。今も活動を続けているハワイ島のキラウエア火山をテーマにした作品も多く、"火山派"なるものもあるのだとか。絵画を通して、ハワイの歴史も学べます。
『ホノルル美術館』では、毎月(1~10月)最終金曜日の18時~21時に「アート・アフター・ダーク」という地元の若手芸術家や美術愛好家が集まるイベントを開催中。テーマにちなんだアートの展示やライブミュージックがあり、くつろぎながらアートに触れられると大人気。ハワイアンカルチャーに触れる旅の締めくくりは、こんなふうに人と触れあうのも、いいかもしれません。
(撮影&取材/編集部・山崎)