イオラニ宮殿で音楽の才能に長けた王族たちを想う
ホノルルのダウンタウンにあるイオラニ宮殿は、ハワイ王朝最後の君主カラカウア王と妹で後継者のリリウオカラニ女王が住んでいた、全米で唯一の王族の公邸。ハワイ君主制が崩壊した後、リリウオカラニ女王はこの宮殿の2階に幽閉され、ハワイ王朝は終わりを告げる。
「カラカウア王はウクレレをハワイに広めた人物としても知られています。リリウオカラニ女王は、有名なハワイアンソング『アロハ・オエ』の作者。ハワイ王族は皆、音楽の才能に長けていたのです。『アロハ・オエ』は、反逆罪の濡れ衣で逮捕され、イオラニ宮殿に幽閉されているときに作った、ハワイ国民への別れの歌だと語られてきました。ところが、女王の自叙伝に、旅行中のエピソードから生まれたラブソングだと書かれていることが判明。女王一行の男性に想いを寄せる女性が彼を見送る姿からインスピレーションを受け、"アロハ(愛)が、あなたとともにありますように"という想いを込めたのです」(吉見さん)
宮殿内の音楽室は他の部屋よりも明るく、音楽を楽しんでいた様子が想像できる。
リリウオカラニ女王が幽閉期間中に作ったキルトには、生まれた日、王位に就いた日、王朝が崩壊した日などが記されている。毎週金曜日に宮殿前の芝生で行われる、ハワイ王国専属の音楽バンドのコンサートも、タイミングが合えばぜひ。
宮殿内の豪華なインテリアも見どころですが、幽閉されていたリリウオカラニ女王が、どんな思いでハワイ王朝の終わりを見届けたのか......。それを思うと、何だか切なくなってしまいます。
vol.2 絶景を目に焼き付けた後は、有名な木のふもとでのんびり過ごす>>
(撮影&取材/編集部・山崎)