■アベノミクス"三本目の矢"は「成長戦略」
月日のたつのは早いもので!! ごめんなさい、すっかりごぶさたです。安倍ちゃん政権が起用した日銀の黒田総裁、「異次元緩和」(注1)を打ち出して、いきなりがっつり全開、本領発揮ですね~。これはアベノミクスの「三本の矢」のうちの「大胆な金融緩和」にあたります。
そしていま、今年度の本予算が国会で審議中ですが、5月の半ばごろには成立の見込みっす。こちらは国土強靭化のため、と公共事業予算がたっぷり盛り込まれておりまして、三本の矢の二本目、「財政出動」。
では三本目は~? これが「成長戦略」で、いま、官邸に置かれている2つの会議「産業競争力会議」「規制改革会議」で議論が始まっています。ここで成長戦略についての議論をつくろうというのです。
(注1)「異次元緩和」市中にお金を出回らせて、デフレを解消するために、国債などを日銀が大量に買い込んで、世の中に出回っているお金の量を増やそう、というもの。黒田さんが「今までと次元の異なる金融緩和だ」と言ったことから、そう呼ばれるように。
■産業競争力会議メンバーは「ベンチャーっぽい香り」
このうち、みなさんも知っている人が多く参加している産業競争力会議を見てみましょう。竹中平蔵慶大教授や楽天の三木谷浩史社長、ローソンの新浪剛史社長が参加。そう、わりと「ベンチャーっぽい香り」がする人たちが入っています。もちろん、「エスタブリッシュな香り」のする方たちもいますよ。佐藤康博みずほフィナンシャルグループ会長、榊原定征東レ会長とか、坂根正弘コマツ会長とかね。(注2)
官邸主導、会議、と聞いて何か思い出しませんか? そう、小泉政権のときの財政諮問会議です。このときは竹中平蔵さんが経済財政担当大臣として担当し、骨太の方針などを作っていたのです。この再来を狙っているのだなー。
で、この産業競争力会議での議論のやり方をめぐってちょっとおもしろいエピソードがありましたのです。第1回目の会合で竹中氏ら民間議員が、会議の事務局に民間人を入れてほしい、と求めたのです。
(注2)この、タイプの異なる民間議員さんたちの間で、結構意見があわないこともある模様。
■実は超重要! 会議の事務局スタッフ
事務局っていうのは、会議の事務方です(って、そのまんまやねん! ごめん!)。この種の会議には議員だけでなくって必ず事務局が置かれます。会議の日程の設定を決めたり、資料を用意したりするのです。でもこれが結構重要なんだな、クロート的には。
よくさ、こういう会議では議論をある程度すると、「論点整理」といって、それまで出た意見を整理して、このようなことが問題となっています、という紙をつくって、その問題をさらに議論を深めていきましょーよ、となります。
が。これさー、もし、事務局が「議論をこーゆーふうに進めたいっ」とか思ったりしたら、そっちの方向に持っていくように論点整理をしたりすることが可能なわけ。で、議員があまり注意深くなかったりすると、そのまんまの方向に議論が進んでいったりすることも、政府の審議会ではよくあったりするわけ。あと、議論だけしてもらって、結論を事務局にいいように作ったり。これ、官僚主導。
小泉政権にいた竹中さんはそれがわかっているわけですね。そこで、ほかの議員にもはたらきかけて事務局への民間人登用を要求した。結局常勤で、民間人スタッフが入ることになりましたが、まー、竹中さんよく見とるわ! というお話でした。では、次回はごぶさたしないようにがんばりますっ。
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(文/エンゼルあつみ)