photo by 緑寿庵清水 公式サイト
京都は百万遍。京都大学の学生が行き交い、明るく賑やかな笑い声が絶えませんが、1歩路地に入りこむと閑静な町家が立ち並び、名店もひしめいています。その路地の一角に、日本で唯一の金平糖専門店「緑寿庵清水」が暖簾を掲げています。
緑寿庵清水は、1847年(弘化4年)に現在と同じ百万遍の地に産声を上げました。初代から二代目、三代目と代を重ねるごとに金平糖の種類は増え、五代目の現在は約50種類もの金平糖を作っているんだとか。
金平糖には作り方のレシピがなく、天候や気温に合わせて釜の角度や温度を変え、転がる金平糖の音を聞き五感を使って身体で覚えてゆく一子相伝の技なんです。砂糖の金平糖が作れるようになるまで足かけ20年かかるそうですよ。まさに職人の中の職人です。
そんな手間暇かけて作られた金平糖は、1粒1粒がまるで宝石のよう。柔らかな光を受けてつやつやと輝いています。たくさん頬張らず、1粒ずつじっくりと味わいたいですね。
そして味のバリエーションにも驚かされます。トマト、サイダー、さくらんぼ、桜、ブランデー、チョコレート、紅茶など季節によってもさまざま。金平糖と意外な味のコラボレーションを楽しんでみたいものです。
清水焼の陶器やガラス、ボンボニエール(フランス語で砂糖菓子を入れる小さな器)と、金平糖を入れる器にも目を奪われ、見事な芸術作品を眺めているかのようです。
ボンボニエール(トップ画像)は紀宮様ご成婚の際に引き出物として選ばれ、一躍有名になりました。
金平糖専門店だからこそ生み出せる究極の金平糖。奇跡のような職人の技を、ぜひご自分の目や舌で確かめてみてはいかがでしょうか。
(文/六島京)