菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

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 のちに中島監督は、蜷川幸雄にでも感化されたか、ものすごく現場の空気が悪くなることが有名化して、自分でも「胃が痛くなるような現場でないと映画撮った気がしない」とかなんとか言ってました笑。

 これは、作品が、作品よりも大きなフィールドである「SM」に飲まれ切ってしまう現象で、SMはSMクラブで行われる(それを自宅にバウンスしても良いですが笑)アレ以外は、全部アナロジーなので、ある意味僕は、常にSMに飲まれないように闘っている。とも言えます笑。僕がしなくても、相手が求めてくることも多々ありますので笑。中島には加担してしまいました笑。

 「SMに飲まれようと、名作ならいいじゃん」という正論は、もちろんすぐに立ち上がります。例えば僕がオールタイムベストに挙げている「エクソシスト」では、実際に悪魔憑きにハマっておかしくなったフリードキンが、現場に猟銃を持ってディレクターズルームに蟄居し、たまに発砲したりしていたので、スタッフがTPSDで訴訟したりしていますが笑、これはSMというよりホラーですよね笑。

 僕は、自分にあんな才能があるとは決して思いませんが、ヒッチコックと現場がほぼ同じだと思っています。ヒッチコックは常にギャグいってみんなを笑わせたり、お茶の時間を楽しんだりして、現場で怒鳴る監督に対して「現場のドラマは100点、作品のふドラマは20点のやつがすることだ」という名言を残しています。

 ヒッチコックはとてつもなくフロイドですし、何せフェティシストでした。ほんのちょっと挿入される、自分へのサーヴィスとしてのフェティッシュの為に、あの偉大な作品を取り続けていたとも言えます。バックヤードでも、まあ、イタズラが過ぎたというか笑。しかし、そのイタズラは概ねサディスト的でしたが、僕は抽象でも具象でもSMは要覧ですね。現代人は、昭和と比べるとかなりSM駆動だと思います。あのマゾヒストの帝王、松本人志が「どM、どS」という言葉を作った時に、パンドラの箱が開いたと思いますね笑。

 

 

No.4 2ヶ月前

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