菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>11

 アレは真鍋理一郎という音楽家で、今度出す映画音楽本で研究対象にしますが、「洲崎」特にですが、他の作品も、僕の音楽と似てるんですよ。いわゆるリファレンス関係なしの100%偶然で、こんなに似ている作曲家知りません。というか、2019年に出版された川島雄三の研究本で、あの音楽が、アメリカンクラーベに似ていて、日本人だったら菊地成孔に、、、という記述があって、ひっくり返りました笑。

僕はオカルトでも原理的な仏教徒でもないですが、自分を川島雄三の生まれ変わりだと思っています(僕が生まれる2日〜3日前に亡くなったので)。なので、川島雄三作品の音楽を研究しまくっているのですが(ちゃんと、研究家という立場で)、先回って、というか、僕が研究に着手する前から、日本人による川島研究書に自分の名前があったとき、「ああ、オカルトの人って、こういう偶発にヤラれるんだなあ笑」と思いました。

 川島雄三は、3人の音楽家をうまく使い回していて、黛敏郎(ドミューンで紹介した「接吻泥棒」の、「クールの誕生パクリ」が完璧)、「洲崎」の真鍋理一郎(「洲崎」よりすごいのが「貸し間あり」の音楽です)、晩年の4作を担当した池野成(いけの せい。これもずっと「いけの なる」だと思っていて、危ないところでした笑)、の3人ですが、全員との仕事の仕方がもう、未来の人間としかおもえないぐらいすごいです。

 こういう話ばっかりで一冊出します笑(多分、来年)。日本映画は、20世紀が終わって、急速に「たくさん見れる」ようになりました。それは、太平洋戦争時代にアメリカ映画が統制で見れなかったのが、戦後に一気に解禁された状況と似ているとさえ言えて、第一には批評をもう一度最初からビルドアップしないといけない。特に、20世紀の映画批評には、基本的に含まれなかった「音楽と映画の関係」については、僕の仕事だと思っています。

No.12 18ヶ月前

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