菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>20

 おっしゃる通りです。インターナショナルという言葉は、むしろロシア革命の時に頻発された言葉だということの皮肉が、アメリカに対する最大のブラックジョークだと思いますが、中国が共産資本主義国としてのモデルを完成させ、ワールドを名乗るのは、ウイアーザ・ワールドみたいで、要するに言葉が入れ違ってますよね。日本は、明治までは「翻訳」という営為に、非常に意欲的でしたが、20世紀いっぱいで、英語力を放棄し、カタカナ表記にしてしまいました。「UN連合」は、「なんちゅうか、UNってアメリカっぽくなくね?」ぐらいの感覚でしょう。産油国みたいなね笑。

 今初めて戦争や紛争が起こったと思いたがる人々を、ひと昔前の平和ボケとかいう物言いで斬って捨てるのはあまりに詮無いですが、イラクのことは、30代以上の人々なら抑圧も乖離も出来ない、とは思っています。何度も書いておりますが、アメリカが「我々」という時、バイデン以前はアメリカ合衆国のことでしたが、今は、同盟諸国を指しており、これは世界大戦のセットアップなんで(プーチンも、同様のことを言いたいんだけれども、軍人上がりはスポークスが下手だし、荒っぽいので伝わりずらいですね)、「戦争は嫌だ」と思っている日本の人々は、「個人対個人なら見守れるけれども、組み対組みになったら参加しないといけない」という経験値を過去から想起して、思考したり行動したりすべきですね。イラクよりも我々が抑圧しているのは学生運動でしょう。

 何れにせよ、音楽は、一歩間違えれば戦争に利用されます。「戦争に反対する音楽」が必要だとは思いません、とうか、音楽はもうすで沢山あって、食料で言ったら、食いきれないほどありますが、個々人が個々人の自由を、理念ではなく快楽を介して獲得するための音楽を状況が求めた時は、新しい音楽が生まれるべきだし、自然に生まれます。僕はそれを作り続けていると思っています。

No.23 32ヶ月前

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