菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>9

中村佳穂さんもキチガイ系ですよね笑。とにかく藤井風も中村佳穂も若く、パワーと動物性と音楽的天才で駆動するのに一番良い年頃です。やっと、いつまでも若いと思っていたであろうポップミュージシャンたちが、加齢を突きつけられていると思います。山下達郎や桑田佳祐らが「老人がどう振る舞うか?」という大命題に取り組んでいる中、40代後半から50代前半の音楽家たちがその壁に対してどう処するか?というのは楽しみなような、どうでも良いような笑、感覚で見ています。

 作詞については、藤井風の特徴は、大雑把に「アーバンなサウンドなのに地域性が強く、小洒落てない」というのが柱にあると思います。「なんなんw」のサビ前にある「肥溜めにダイブ」というのは、きっと岡山には最近まで肥溜めがあったんじゃないかな?と思わせるリアリティがあります(実際は知りませんが)。

 今は都市生活者のあり方がインターネットによって、全国的に均一になり、地域性を超えた都市性が共有感覚として撒き散らされていますが(孤独とか、生きづらいとか、昔輝いていたものが腐ってしまったとか、何県に住んでても、スマホ握ってる限り共有的でしょ)、藤井風はその点で、アメリカのミュージシャンみたいです。在米経験がないのに、英語が堪能だという属性もこれにリンクしていますし、神の存在を前提としているようなところもアメリカ人みたいです(日本のSSWの特徴は、救済を、あからさまに神に求めない、という点があると思います)。岡山弁をアメリカに結びつける評論家はあんまりいないんじゃないかな?アメリカンポップスはローカリティの塊ですよ。

No.10 42ヶ月前

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