はじめに
  • この記事は、先日の鳥島近海を震源とする地震津波の情報、そしてBSC24の放送について色々振り返ったり振り返らなかったりするものです。
  • あくまでも一個人の意見であることをご留意ください。

M5.9なのに津波?
真っ先に気になるのはこれです。
今回の津波を発生させた原因は、鳥島近海のごく浅い震源で起きたM5.9の地震でした。

通常、津波を発生させる地震の規模はおおよそM6.5以上と言われています
・・・なぜ今回はM5.9という小さい規模で津波が起きるんだ・・・? ということで、色々調べてみました。

まずは過去の事例から。
鳥島近海におけるM5後半~M6前半の地震で津波を発生させた例は、最近のものだと2006年1月1日のM5.9の地震があります。この時は最大13cmの津波を観測していました。
また、1996年のM6.2の地震、1984年のM5.9の地震でも津波を観測していました。

じゃあどんなメカニズムで津波が起きたのだろう・・・ということで更に調べます。

今回の地震における気象庁会見ではメカニズムについての話があったようです。
が、見ることができなかったので、おそらく同じメカニズムと思われる2006年の地震時のものを引用します。
今回と1996年の地震の発震機構(CMT 解)は比較的よく似ている。1984年の地震も今回と同様なタイプの地震と考えられており、マグマの貫入を原因とする海底隆起によるものと推定されている(Kanamori et al.,1993)。

(平成 18 年1月 地震・火山月報(防災編)より
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/gaikyo/monthly/200601/monthly200601.pdf
どうやらマグマの貫入が原因のようです。
・・・残念ながら素人なのでなるほどなぁとはなりませんでしたが、普通の地震とは違う特殊なものであるということは理解出来ました。

強震モニタの特殊な反応
今回の地震は震度1以上を観測しなかった「無感地震」でしたが、小さな揺れもキャッチする強震モニタには反応がしっかりとありました。
残念なことにそのとき強震モニタの画面をキャプチャしてなかったので、当時の放送のTSから画像を持ってきました。
※chromeだと右クリック→「新しいタブで画像を開く」で大きい画像を閲覧できます。
※解説はリアルタイム震度(右下の日本地図)をもとに書いています。

1時50分4秒(地震発生1分前):伊豆大島付近は全て青色。
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1時52分4秒(地震発生1分後):今回の地震の震源南北で緑色が目立ち始める。
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1時54分4秒(地震発生3分後):まだ緑色。震源北方向は緑色が増える。
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1分56分4秒(地震発生5分後):反応薄くなるもまだ広範囲で緑色。
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1分58分4秒(地震発生7分後):新島付近で緑色。他は青色に近い状態に。
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2時00分4秒(地震発生9分後):ほとんど青色に戻る。
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当時筆者は強震モニタを見ながら「やけに長い反応だなぁ・・・」と思っていました。
実際に平均何分反応が続くのか・・・とかは一切調べてないの正確さには欠けますが、約8分間も反応が続くのはかなり特殊な反応だと思って良いと思います。

また同じような反応があったら、「マグマの貫入による地震かもしれない!津波が発生するかもしれない!」なんて思っておくと、ちょっとは良いのかもしれないです。震源周辺に住んでる方々は特に。

津波注意報発表のタイミング
そもそもがM5.9の地震ですから、いくら過去の事例があったとはいえ津波注意報を発表することはほとんどしないと思います。
ならなぜ今回は津波注意報を発表したんだろう、そしてなぜ2時39分という中途半端な時刻なんだろう・・・。ということで、ちょっと考えてみます。

気象庁は、津波注意報発表10分後の2時49分に、1回目の津波観測情報を発表しました。
このときの情報は、「八丈島八重根 2時35分 50cm」でした。
・・・ん?津波注意報発表前の観測値だぞ・・・?

ということで、津波を観測したから津波注意報を発表した、というのが正解なようです。
この津波観測後に発表するパターンは過去にも何回かありました。
仮に夏の昼間であれば海水浴に出かけている方も多いでしょうし、被害を出さないために是非とも津波予測の精度向上を気象庁さんにはしてもらいたいものです。

BSC24の放送
今回はこんぽが津波情報に関する配信を行いました。
2月17日、4月20日、5月03日とたった90日の間に3回も津波注意報が出ると思っていなかったので、2月の反省はあまり生かされませんでした。油断は禁物です。
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当時の放送画面(3時55分)

今回の放送における反省点をいくつか掲載します。

初対応が遅れた
突然の津波注意報なので、「誤報ではないか?プログラムミスではないか?」とちょっと疑い、それから放送で対応・・・という感じで少しばかり対応が遅れました。
しかし突然なものに対して行動するのも無理があるので、まずは10秒早くできるようにするところから頑張って行きたいです。

震源の情報を伝えられなかった
2月17日や4月20日の津波注意報は、緊急地震速報や震度速報のあとの津波情報だったので震源がどこなのか把握しやすいパターンでした。
しかし何度も言いますが今回は突然だったので「どこで地震?」「遠地地震?」というコメントが多数ありました。自分も数分間はどこが震源か分かっていませんでした。

なお津波注意報の発表時、気象庁は「震源要素の速報」として関連した地震の震源情報を発表します。
************ 震源要素の速報 *************
[震源、規模]
きょう 3日01時51分頃地震がありました。
震源地は、鳥島近海(北緯31.5度、東経140.1度、八丈島の南18
0km付近)で、震源の深さはごく浅い、地震の規模(マグニチュード)は
5.9と推定されます。


(気象庁 | 大津波警報・津波警報・津波注意報、津波情報、津波予報 よりhttp://www.jma.go.jp/jp/tsunami/focus_03_20150503023916.html
これをいち早く放送で流すことができれば、視聴者の混乱を抑えられたのは確実ですね。
青森県の地震情報を伝えてしまったNHKと一緒に(かは分かりませんけど)、次回はこの情報をしっかり放送で流していきたいです。

観測情報の並び替えが出来なかった
観測された津波の情報は、「観測値の高い順」で表示している放送局が多いです。
が、今回は手動で情報を伝えた関係上、「気象庁が発表した地点順」で表示していました。
あまり見慣れない順序だと視聴者に優しくないですよね。他の放送局にならって「観測値の高い順」していきたいです。

津波注意報解除を分かりやすく伝えられた
上3つとは変わって良い点です。
解除直後に自動で「津波注意報は解除されました」という音声を流し、さらに画面でも大きな文字で表示したので、とても分かりやすく伝えられたのではないかなと思います。
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当時の放送画面(4時11分)

反省点をめとめると、やはり悪かった点の改善は「いち早く情報通知の自動化をする」が手っ取り早い気がします。
2月17日の津波注意報の反省で「6月までには自動化を完成させたい」と書きましたが、実生活が忙しいこともあって正直間に合うか分からないです。ただいつ大地震が起こっていつ大津波が日本に来るか分からないですから、空いてる時間を見つけて出来るだけ早く完成できるよう頑張っていきます。


5月6日追記:誤字脱字や、記事に相応しくないと思われる箇所を訂正しました。