最近も『ハイスコアガール』が炎上していたが、権利元に権利を確認していない、というのは情報産業ならではの問題とも言える。情報というのは抽象的で普遍的な概念であり、コンピュータやネットの整備によって触れやすくなったが、別段そのことによって登場した新しい概念というわけではない。
 係争中っぽいので特に新しい情報はなさそうなのだが、『ハイスコアガール』が刑事事件になったのは、この作品でSNKプレイモアの作品を無断引用していたからだ。ゲームのタイトルだけではなく、画面やキャラクターが模写的かつ連続的に登場していたので、これはちょっと言い訳をできそうにない。当然、この作品はマンガだから、批評や研究には属さないと見られる。マンガ表現は批評ではないのか、と言われるとこれは深淵な問題だが、これはライトノベルが定義不可能だからなんとなく「特定レーベルから文庫版で出ていて、その特徴としてマンガ的な挿絵がある」というような後付けの定義でお茶を濁しているのと一緒だろう。一応、今のところ批評や研究は文章の体裁でなされるものとなっている。じゃあ『ゴーマニズム宣言』は?と言われるとなかなか耳が痛いところである。