■続・どうしてネットの破天荒すぎる人たちと有料チャンネルをやったのか
ネットにはユーザーがコンテンツをつくるタイプのサービスが多々ありますが、サービスのスタート時点で、そこに最適化されるコンテンツであるとか人気を集めるユーザーがどういう人たちなのかっていうのは、実際サービスを提供し運営する側もわかっていないわけです。
新しいサービスがスタートし、そのサービスにユーザーが集まると、一斉にユーザーによる試行錯誤が始まります。恐ろしい数の試行錯誤が繰り返される中、そのサービスにちょうど「ハマる」コンテンツの形が見出されていきます。
そして、早いタイミングで、そのサービスに「ハマる」形をみつけだし、継続した人が、より多くのファンを獲得することになります。もちろん突発的に人を集めるコンテンツもありますが、法則性のないたまたまのホームランではプロにはなれません。コンスタントにヒットを打てる方法を見出し、それを継続できた人が、そのサービスの世界での定位置を得られるのです。
サービスを開発し運営する側の人は、物事の整理については長けている場合が多く、自分たちの作ったサービスの中でのヒットの法則というものに気づき、それを整理して誰でも使えるノウハウにしようとします。このノウハウを使えば、人を集めることができるわけですから、作り手を集めると共にそれを作り手に伝授し、さらに多くのユーザーを集めようとします。
ただそれは、そのサービスのスタート時からいる人たちがみつけてきたノウハウですから、これから参入しようとしている人たちがそのまま真似したから続々と人が集まるかというと、怪しいものではあります。基本は、サービス運営側と作り手のコミュニケーション、そしてサービス運営側が生み出されるコンテンツをよく観察し、目利き役として良いコンテンツを採り上げていくという編集の能力が問われます。好循環を生み出すには、新規参入した良質なコンテンツがきちんと目立てる、ということが重要です。というわけで、特定の一部ユーザーだけ目立たせることに必死なサービスは、新規参入に向かないかもしれません。
しかしながらチャンスが金輪際ないかというとそういうわけではありません。新しいサービスが立ち上がる瞬間や、サービス内のルールが変わる瞬間、新しいサブサービスが追加される瞬間、などなどこういったプラットフォーム上に新しい「波」が来る瞬間は、やっぱし、すごくチャンスです。変化=チャンスなわけです。
そして、今来てるのは、「プロ化」の波です。このビッグウェーブに乗るかどうかはともかく、この1?2年は「プロ化」の波が来ているのは間違いなく、乗るなら早めに乗ったほうがいいのは間違いない。今乗れば、先頭集団に入れるかもしれません。まさに変化の時期であり、チャンスです。
ニコニコ動画の場合、チャンネル機能を使えば、様々な課金の仕組みを使えるようになっています。有料コンテンツの配信を考えた場合、これほど充実した環境はおそらく他になく、月額課金の仕組みを使い、安定収入を得ながら表現活動をおこなう、といったことが可能になっています。
ガジェット通信でもいくつかのチャンネルを持ち、様々な試行錯誤を繰り返してきました。正攻法でコンテンツをつくる、というところから始まって、破天荒な人たちと一緒にヒットコンテンツをつくるという試みまで、さまざまです。
そういう中で、破天荒な人たちを見ていて気づいたのは、ビジネスを意識しないでとにかく一人でも多くのファンを集めるためのコンテンツをつくる、というところから、ビジネスを意識した有料コンテンツを提供するというところへは、やはりかなり大きな意識の切り替えが必要だということです。
当然ですが、意識の切り替えをうまくできた人はうまくいく可能性が高い。
しかし、破天荒な人は、その意識の切り替えをうまくできない場合がある。
破天荒な人は、何か計算して破天荒にふるまっているわけではなく、素の状態で破天荒なわけです。ネイティブ破天荒なのです。そのネイティブ破天荒な人が、ありのままの自分のまま、サービスにうまく「ハマって」、人気を集めていたわけなのです。
しかしここで、無料コンテンツから有料コンテンツへ、というルールの変更がおこなわれると、ありのままの自分では、引き続きファンを惹きつけ続けることができないことがある。無料コンテンツのルールだと、ありのままの自分がハマっていたが、有料コンテンツのルールだと、ハマらない。そういうことが起こりえます。
そこで、普通だったら、自分自身に変化を起こし、環境の変化に対応するわけです。前向きに言えば、自分イノベーションを起こす、とでも言いましょうか。
しかしながら、破天荒な人は、これまでありのままの自分でうまくいってたわけですから、特に変化の必要性を感じていない。なので、そのありのままという状態から抜けられなくなりがちです。
そうなると、ヒットの法則やゲームのルールが違う有料コンテンツの世界ではハマらない、ということになってしまいます。
ありのままの自分で上手くいっていた人ほど、この罠にはまってしまいます。
ルールの変更にともなって自分自身を変化させられない人は成功から遠ざかってしまうのです。
今は、大きな変化の起きている面白い時期です。特に、月額課金システムや都度課金システムが豊富な決済手段のもと利用できるニコニコチャンネルの仕組みは、まだまだ探求の余地が多く残されています。この中でわたしたちも引き続きチャレンジしていきたいと考えています。いちはやくノウハウを見つけたひとが成功する世界ですんで、あんまりのんびりもしてられません。
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(深水英一郎/ふかみん)
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