第10回 「有名人」のメルマガが成功しない理由 その2
■有名人がハマる落とし穴
■有名人がハマる落とし穴
前回の記事では、有料メルマガを売るためには、「著者」になる必要があるという話を書きました。
まずは、軽く補足を加えながら、前回の提案をおさらいします。
多くの人は、「有名人」=「有力な著者」だと勘違いしています。ここで言う「著者」とは、読者に「ああ、この人のコンテンツならお金を出して買ってもいいかな」と思わせる力を持つ人のことです。確かに、ツイッターで数十万人ものフォロアーを抱えていたり、ブログ記事をアップすれば数百ものコメントがつく「有名人」が何かコンテンツを提供すれば、お客さんが簡単についてくるような気がします。しかし、それは、ここ3年間における有料メルマガで成功・不成功の事例を辿っていくと、やはり「気がする」だけだったと言ってよいと思います。
もちろん、「有名人」には、宣伝力という面で大きなアドバンテージがあるのは間違いありません。ステマが問題にもなりましたが、「告知をする=注目を集める」という意味では、一般人とは比べ物にならない力を持っています。
ただ、その「告知をする力」と、「有料に耐えるコンテンツを発信する力」は、しっかりと分けて考えなくてはいけないのです。いわゆる「有名人」の有料メルマガがなかなか成功しないのは、「告知をする力」に対する評価を高く見積もり過ぎているからと言えます。
さらに言えば、「有名人」であればあるほど、その人の「コア」が見えにくくなっているので注意が必要です。いわゆる「有名人」のほとんどは、テキストコンテンツの世界で読者を獲得した人ではありません。テレビで芸をしたり、ステージで歌を歌ったりすることで「有名」になっている人のことです。彼ら彼女らの「テレビで発表する芸」や「ステージでの歌」は、もちろんかなり有力な「コンテンツ」です。それこそ2時間のステージで、有料メルマガ1年分以上の料金を取ることができるほどの「コンテンツ」です。しかし、有料メルマガで配信されるものの多くは、そうした「有名人を有名人たらしめたコンテンツ」ではありません。
この「コア」を読者にぶつけていくという感覚で臨まないと、いくらプロのライターに口述筆記をしてもらって、文章や字数の面でクオリティを整えても、まったく読者がつかないということになります。お客さんは、その有名人の「何」にお金を払うのか。そこを徹底的に考えて、コンテンツに反映させる。そして、そのコンテンツに価格以上の価値を感じてもらう。それが達成できないと、いくら宣伝しても、おおげさに言えば、一人の読者すら獲得できないということになるのです。
ですから、今後、有名人の有料メルマガが成功するためには、二つの道があると私は考えています。
1つ目の道は、その有名人が有名人となったコンテンツを、そのまま有料メルマガに掲載していくことです。ブロマガは動画にも対応していますし、権利関係の処理など、乗り越えるべきハードルは少なくありませんが、可能性は十分にあると思います。
2つ目の道は、その有名人の「告知力」はそのままに、有料メルマガコンテンツの著者として読者を一人ひとり獲得していくということです。「そんな時間あるわけないし、無理でしょう」と思う人もいるかもしれませんが、実は書籍の業界では、ごく当たり前に行われてきたことです。自分の私生活を暴露する以外のコンテンツで売れる「タレント本」というのは、料理や美容術や都市伝説などなどの紹介者としての地位をじっくり築いた上で(あるいは現在進行形で築きながら)作られています。有料メルマガにおいても、同じような手順を踏むことが必要なのは、当然と言えば当然です。
■メルマガ用のプロフィールを作成しよう
さて、いよいよ今回の記事の本題に入っていきます。では、実際に有料メルマガで成功するために、私たち(「有名人」「一般の方」問わず)は何をすべきなのか。
私としては、ぜひみなさんに「有料メルマガ用のプロフィール」を作成してみること、をオススメしたいと思います。
今さら何をのんびりしたことを言ってるんだ、生年月日や出身大学だけを並べるような味も素っ気もないプロフィールじゃなくて、プロフィール自体がコンテンツになるくらい面白おかしく書いてるよ、という人もいるでしょう。
そうした「面白プロフィール」ももちろん悪くありません。ウィキペディア的情報を並べ立てるよりずっとマシです。実際、単発コンテンツを売るためには、かなり効果的だと思います。しかし、継続的に読者に満足をしてもらう必要のある有料メルマガにおいては、プロフィールを「コンテンツ」の1つとして使ってしまうのは、端的に「もったいない」と言えます。
有料メルマガの購入ページにおける「プロフィール欄」(もちろん、タイトルや内容説明文もそうですが)は、そのメルマガが「どこを起点としているのか」を示す貴重な場所です。
例えば、「多くの人は知らないであろう昆虫の興味深い点について書くメルマガ」というものがあったとして、その場合はプロフィール欄に何を書けばいいのか。それは、自分が昆虫をどれほど深く研究してきたか、説得力を持たせる形で記述すべきだと思います。学者としての肩書がプラスになると思えば、書いておくべきだし、幼少の頃に「この道」を目指すきっかけが魅力的なものであるならば、短く書いておいてもいいでしょう。あるいはマイナーな「好きな昆虫」を挙げておくことで、このメルマガで言及する内容の「深み」を匂わせるのも良いかもしれません。
これはもっとも単純な場合です。このメルマガは、「何らかの知見・知識」を伝えるメルマガであり、なぜこのメルマガに価値があるのかと言えば、そのジャンルについて、普通の人よりも多くの「知見・知識」を持っている、ということを伝えればOKということです。
現役バリバリのジャーナリストが、取材してきたことを鮮度の高い状態でお伝えします!というメルマガの場合も同じです。売れっ子モデルさんが、化粧術について語るメルマガの場合も同じです。
ただ、プロフィールを突き詰めると、この「ある種の専門家」が上から目線で語るメルマガ以外にも可能性があることが見えてきます。
例えば、「家族用お弁当の作り方」を紹介するメルマガというものがあったとします。その場合、めちゃくちゃに料理が上手いというのは、絶対的な「プロフィール」になるとは限りません。名店で何年も修行をしました、というプロフィールが、ただ「うわ、自分とは関係ないや」と読者を引かせるだけになる可能性もあります。むしろ「料理なんてしたことありません。だけど、こんな感じでやってみてます!」というプロフィールが読者の心をつかむ可能性があります。
あらたにメルマガを始めたいという方は、まずは、自分の人生を振り返って何らかの「専門性」を見つけ出して、それが有料コンテンツとして成立するかを検討してみるのがいいでしょう。しかし、どうにも中途半端になりそうだなと感じたら(その人の能力が中途半端というより、その人の専門性をお客さんに伝えるにあたって「メルマガ」「ブロマガ」というメディアが適していない可能性があります)、ぜひ、「別に得意じゃないんだけど、やってます!」というプロフィールから面白いコンテンツを作っていくことを模索してみると良いと思います。かなりの幅が出てくるはずです。
ゲームやアニメの実況中継をするというメルマガ・ブロマガを作るとして、「すごくゲームがうまい」「アニメをよく知っている」という人が多くの読者を獲得する可能性はもちろん高いでしょう。でも、「ものすごくゲームがヘタ」「アニメをまったく知らない」という人が「あえてやってみるところを見せる」というのも、十分に勝算のある切り口だと思います。
いかがでしたでしょうか。
メルマガのプロフィールはなかなか奥が深いです。プロフィール欄を練り直すことで、コンテンツの方向性も見えてくると思いますので、「十分な購読者は獲得したけれども最近は伸び悩んでいる」という著者の方も、ここでもう一度手を入れてみてはいかがでしょうか。
ご参考になれば幸いです。
コメント
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(ID:13911713)
面白かったです。