「なんかさ、ゲームアプリをさ、1分とか2分の動画で、どんどん紹介していくようなことね、毎日、やったらいいと思うんだよね、せっかくニコニコ公式チャンネルあるんだし」
某ミーティング。週アスPLUSの有野Pに相談してみました。
「いいですね! それ、やりましょう」
有野Pは孫正義さんばりにポイジティブです。基本、なんでも「やりましょう」です。それはそれで、とてもいいことだなと思うのですが。
「いいでしょ? じゃあさ、もう、すぐやろうよ」
「はい、やりましょう、で、誰がやるんですか」
「俺、俺、ほら、みんな忙しいからさ、俺がやろうかなと思って」
有野Pが驚いた顔で沈黙しました。
そりゃそうでしょう。言うても週刊アスキー含むアスキー系編集部の局長です。また、電撃PlayStationの編集長だったこともあります。そんな僕様がゲームプレイ動画やるって、自分から言い出したんです。有野P的にはうれしかったんだろうな。
「いや、俺もいろいろあるから記事は書けないよ、でもね、さくさくっと動画撮ることはできると思うんだよ、毎週何曜日何時からって決めてもらえれば。木曜がいいかもね、比較的あれだし」
「それって、誰かが編集して、誰かがアップするってことですよね」
さすがは有野P、さっそくスタッフのこと考えてくれてます。
「うん、まぁね、俺、記事も書けないと思うんだけど、動画を公開するだけでもね、見られないかもしれないけど、おにぎやかしにはなるとは思うんだよ」
「あー」
有野Pの考えてるふうな「あー」には特徴があります。普段とは少し違う声色で、高くもなく低くもなく、語尾を引っぱります。
「あー、はい、わかりました、了解です、倉西さん、提案があります」
「うん」
「iPod touchを一個用意しますので、右手で持っていただいて、自分で撮るっていうのどうですか」
「え」
「いや、おもしろいじゃないですか、なんか、そういうの」
「いや、なに?」
「それ、どうですか?」
ダメでしょ。
どうもこうもない。なにそれ いまどき中学生YouTuberだってそんなことしてないし。
「局長自らですね、そういうの、なんかよくないですか アスキーっぽくて」
全然、っぽくない。なんなんだ?
有野P曰く、そんなスタッフがいないと。倉西さんは適当にしゃべって気分よくアプリをプレイして「じゃあね」かもしれないけど、動画を上げるためには、それを編集するスタッフが必要なんです、と。誰かがつまんだりなんだりして、倉西さんが映っている動画とゲーム動画をタイミングあわせてがっちゃんこして、音声もチェックして、で、公開しなきゃいけない。ただでさえ忙しいスタッフにそれだけの手間を割かせて、実際のところ、倉西さんのゲームプレイ動画なんて、どれだけ再生されるんですか? 誰が見たいんですか? そのスタッフのコストに見合うだけのアクセスはありますか?
そんな……厳しい……。
その後、あぁでもないこぉでもないと40分に及ぶ議論を受け、こんな動画ができあがりました。
画面はゲーム画面のみ。そこに僕が説明コメントを重ねるというだけ。僕は映ってません。まぁ、映りたいわけでもないのでよしですが……もうね、中学生YouTuber以下。四捨五入しちゃうと50歳になるのに。
「了解です、いいですね、ぜひ、それでお願いします、倉西さん、あれですよ、再生回数が増えたらスタッフもつけますし、あれですか、となりに水着の美女とか立たせますか、いいですねー、ぜひ、それでお願いします」
自分のスタッフが救われた有野Pは言いたい放題です。
まさかとなりに水着の美女なんてことはしませんし、それができないくらい再生もされないでしょうし、毎日とはいかないでしょうが、なんとなく、この貧乏くさいプレイ動画は続けていこうかと思います。一回再生してみたら、「もうちょっと元気にしゃべろうぜ > 俺」とか思いましたし。
改善点があるということはいいことだ、たとえ誰も望んでいないのだとしても。
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