田畑 佑樹 のコメント

 “共鳴→増幅→四分音程の発生” 、ピアノを完全な平均律楽器だと思っていた身からすれば想像だにしないことでした。ピアノ奏者がサステインペダルを踏みっぱなしにして「さあ今から地獄落ちを表現しますよ」みたいなノリで高音から最低オクターヴまで一気に転げ落ちるタイプの演奏をやることがありますが、あくまで私の好みとしてあれは嫌いで、平均律内のトーンクラスタを使用した現代音楽作品にも同じ印象を受けていました。が、ペダル踏みっぱなしの和音並行移動というある程度メカニカルな動きで平均律内の「バグ」であるクォータートーンが自然発生するというのは凄い話ですね。

 ぜひお尋ね申し上げたいのですが、菊地さんがそれによって体感された “興奮しない”・“去勢されたような、爽やかな気分”は、私が前段落で書いたような「無調」系の音像を(菊地さんの耳が)聴くことによるそれと似ていたり・または同じであったりしましたか? 菊地さんがいわゆる「熱演」を好まれないことは存じておりますが、今回の日記で書かれていた “涼しさ” が「熱演」の対極に存在する質のものなのか/それともその “涼しさ” は「熱演」と併存しうるものなのか、について知りたく思いました。

 また、日記末部の “ロマンティーク” も “(無調的な?)涼しさ” と並存しうるものなのかも知りたいです。菊地さんがお書きの内容から察すると、 “(無調的な?)涼しさ” が「ギル・エヴァンス技法」へのスイッチによって “ロマンティーク” に移行もしくは止揚された結果のように思われますが、上方倍音列はあくまで平均律のビットマップを侵犯しないものである(←合っているでしょうか? 倍音について不勉強なまま書いているので不安です)ため、クォータートーンが混ざった “涼しい” 音像と「ギル・エヴァンス技法」による “ロマンティーク” な和音秩序は共存しうるのか/それとも原理的に齟齬が生じるのか、などについて、一般論というよりは菊地さんが感取された内容をお聞かせ願いたいです。

No.1 6ヶ月前

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