りゃん のコメント

最初に念の為書いておくが、わたしは10.7以降いままでのできごとについては、イスラエルを応援してないし、
イスラエルの国際法違反は強く批難する立場だ。

さて、クロッカー元大使は、イスラエルの自信過剰を危惧するという文脈での発言だから別に大使に反対するわけではない。
しかし、わたしが観察する限りでは、「敗北したかどうかは行為者たちの心の問題」というのは、
どこよりもイスラエルにこそあてはまる。

イスラエルは敗北を認めれば、国がなくなるばかりか、何百万人もが虐殺・民族浄化の危機に直面する。
このことは、いまイスラエル国内で反政府デモをしているイスラエル人ひとりひとりにも、心の底にはあることだろう。

一方、イランは、ものすごい敗北をすれば、アゼルバイジャンあたりに領土を切り取られる未来もありうるが、
単に体制がかわる程度なら、イランは変わらずイランであり続けられる。そして、よく見ていればわかるが、
イランには現体制を快くおもっていないイラン人も多い。

大方の見方・ヒトビトの見方とは異なるのだろうが、わたしは、イスラエルにはイランに対する「勝利計画」があり、
バイデン政権がそれを必死に止めていると見ている。それは「第三次世界大戦」との絡みが理由だが、イスラエルにとっては、
ウクライナがどうなろうが、極東がどうなろうが、究極的にはどうでもいいことだろう。そして、案外そういう考えは、
「トランプ大統領」とは相性がいいかもしれない。

もしイランが敗北して体制がかわれば、ヒズボラ等はどうなるだろうか。たしかに「敗北したかどうかは行為者たちの心の問題」
だけれど、武器はなくなり、闘争心は消え入る寸前になるだろう。

それだけでは終わらない。たとえばレバノンにいるパレスチナ人が、イランの後見がなくなった場合、どういう運命になるか。
イランによって国を好き勝手にされたレバノンの非ヒズボラ勢力が、イランの手先であったパレスチナ人をどう扱うか。
案外、大虐殺からパレスチナ人を守るのは、今度はイスラエルになりかねないという未来が数年後にはあるかもしれない。

そもそもアラブですらないイランがアラブに自分の「支店」を出して好き勝手にしているのを、アラブの国々はどうみているのか。
「ベーテー打倒」の練習問題くらいにしか中東問題を見ていないと、こういう想像力には縁がないだろう。

No.6 1ヶ月前

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