りゃん のコメント

「〇〇があったのに、実質賃金はあがらなかった。だから〇〇は無意味・有害だった」
というロジックなら、「大企業の正社員でつくる労働組合があったのに、実質賃金はあがらなかった。だから大企業の正社員でつくる労働組合は無意味・有害だった」というロジックも正しいことになるだろう。まして、政治にかまけている労働組合においておや。

別に自民党の経済政策を擁護しない。ただ、実質賃金があがらなかった原因はよく考えてみなければならない。

実質賃金議論を見ていると、「中共」がまったくでてこない議論をみかけるが、これはまったくダメな議論だとおもっている。

さきごろの株の暴落の少なくとも一部は、円キャリートレードで新興国(つまりはほぼ中共だ)に投資したカネが巻き戻ったためだと説明された。中共の発展に反比例して日本からは工場と技術が消え、その分は(一部の)中国人の所得をあげることに使われたのだ(それと企業の内部留保を高めた)。日本にはめぼしい産業としては介護のようなサービス業しか残らず、これらの生産性は向上の余地があるにしても、もともと製造業とは比べ物にならない。実際、トヨタがまだなんとかがんばっている愛知や、TSMC景気に湧いている熊本をみるとき、製造業のもたらす付加価値のすごさというものが感じられる。

自民党の失政というなら、結局、中共で日本企業の得た付加価値を国民全般にあまねく還元することに失敗したところにあるだろう。実際「株主」(日本人とは限らないが)には、この30年で大儲けしたひともいる。

ただ、日本がこの30年で高齢者福祉を充実させてきたことは、基本的には間違いではなかった。これは、この30年だけでいうなら、日本が製造業を失うこととトレードオフの関係にあったので、そこは我慢するしかないとおもう。そのことは、今後急速に高齢化がすすむ中共の20年後くらいをみれば、たぶんハッキリするだろう。

ただし、2025年は団塊世代全員が後期高齢者になる年と以前からいわれている。社会保障費(大半が高齢者の医療介護)は140兆円に達し、今後毎年3兆円増え、
15年後には50兆円程度増えて190兆円に達するとされる。
https://s-commit.jp/2914/
この増加分をだれが負担するのか、まだ決まっていない。現役層にはそんな余裕はない。また、高齢者は貧しいというイメージがあるが、豊かなのもまた高齢者だ。総裁立候補者の議論はあまりよく聞いてないが、こういう議論をしているものがほとんどいないとおもう。河野はしていたかもしれない。

No.7 1ヶ月前

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