中庸左派 のコメント

『無償の手助けをしろ。それが多くなればなるほど、貴方を助ける』

孫崎先生のおっしゃるとおりです。

ですが、残念ながら、世間の移ろいを見渡すと、どうも逆の流れに進んでいるように思えてなりません。

卑近な例で恐縮ですが、労働組合の組織率はどんどん下がり、組合員の数も減り続けています。労働組合の精神は、一人は万人のため、万人は一人のため、というように、お互い様というか、無償のボランティア精神に支えられています。

私自身、現場の労働組合活動家として四半世紀、無償のボランティア活動に自分の時間を費やしてきました。とはいえ、それも実態を言えば、労働組合役員と言っても、当時から成り手がいない、人材不足で、私のようなものでも、誰でもよいから、担ってもらえないか?みたいなお寒い状況でした。

それでも、先輩や仲間と愚痴をいいながら、和気あいあいと取り組んだことは良い思い出ではあります。

とはいえ、現実には新自由主義改革とか、非正規労働者の増大、即ち解雇規制緩和が推し進められ、労働者の分断が始まりました。労働組合はなす術もなく、時代の奔流に押し流され、組織率続落のまま、今日に至ります。

貧すれば鈍する。最近では、労組ナショナルセンターの幹部も人材難に見えます。昔なら、あんなヘンナ”オバチャン“がリーダーに選ばれることはなかったと思います。

誰かのため、何かのため、という、「今だけ、金だけ、自分だけ」ではない、無償の精神が労働組合に今も生き続けていたなら、ここまでの体たらくにはなっていなかったのではないか、そんなふうに思えます。

日本では、ボランティア精神に支えられている「中間組織」(労組、PTA、町内会等)が崩れかかっている。そのことが、お互い様の精神を急速に失わせ、損得や金銭を介した冷淡な関係性にとって変わられつつあるのではないか?そんな心配を強くしています。

最近も、ご近所の若夫婦が町内会に入らないと、古参のご近所さんが嘆いていました。災害や防犯等で地域が助け合うことは多いのに・・・。

「今だけ、金だけ、自分だけ」という金銭や損得勘定の外側にあるものを、少し想像力を働かせて、見ようとする努力は、人には必要だと考えています。

とはいえ、労組とか、PTAとか、町内会とか、ヨコの繋がりのようなネットワークがドンドン薄くなり、断たれていく傾向が顕著になっています。そうしたヨコの繋がりが、タテの関係即ち権力や支配の体系から身を守るセーフティネットの役割はたす面があるのに、どんどん人びとから軽視されているのではないか?日本の将来が、その点からも心配になる今日この頃です。

No.2 4日前

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